進撃の巨人 ネタバレ考察

(108)正論

全世界を敵に回したパラディ島。

様々な立場と、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語は次の局面へと進み始める…。

進撃の巨人 第108話 正論
別冊少年マガジン2018年9月号(8月9日発売)掲載

 

今号は全編会話オンリーでちょっと一息といったところ。新事実もなく、語ることは多くありません。久々に楽ができそう!

作品世界で進行しているお話の軸は以下のようになります。

・ヒストリアの懐妊

・揺れる104期

・パラディ島で脱走し潜伏中のガビ&ファルコ

・ジークの造反に気づいた戦士隊

順番に見ていきましょう。

ヒストリアの懐妊

前話のラストで衝撃の妊娠が発覚したヒストリアですが、気になるお相手は孤児院で下働きをする身分のない男で、彼女の幼馴染だそうです。顔も名前もまだ登場しません。

彼女は婚礼もせず「身勝手に」いつの間にか妊娠していたようで、エルディア王家の血を引く国主としてはかなり軽率に思えますが、ナイル=ドークらパラディの重鎮たちは意外にも寛容な態度です。曰く、相手の男は身辺調査で不審な点はない。ヒストリアは傀儡に過ぎず、苛烈な運命を背負わせた上に色恋にまで口を出す権利は誰にもない、とのこと。

ただあまりに唐突な妊娠を訝る者もいて、妊娠によって巨人化を免れたのではないかとか、ジークがヒストリアに継承されるのを防ぎ少しでも延命させたい派閥(義勇兵)の入れ知恵ではないかという疑念を呈します。テーブルの上で結論は出ず、いずれもただの推測でしかありませんが。

ヒィズル(正確にはアズマビト財閥)からの要求で、ヒストリアはぽこじゃか子を産んで「王家の血」の維持に努めることが強いられます。その時点で人権もへったくれもありませんから、せめて相手くらいは好きに選ばせてやりたい…というナイルはかなり前衛的な感覚の持ち主ですね。

円卓で食事をしながら酔って政情談義をする彼らに給仕しているのはマーレ人捕虜で、パラディの情報管理はまったくもって疎かと言わざるを得ません。ワインのお代わりを命じられ廊下へ出たウエイターが、同じく捕虜のニコロとなにやら不穏なやりとりをしていますが…?

揺れる104期

レベリオから帰投してすぐにエレンは独房へぶち込まれていますので、104期たちとゆっくり再会後に話す機会はまだありません。作戦は成功し戦果を上げたものの、サシャを失ったこともあって重い沈黙が部屋を覆っています。

コニーとジャンはエレンの言動に対し不信を抱いているようです。独断でジークと何らかの密約を交わし、パラディ軍を巻き込んで交戦状態へ持ち込んだエレンは、サシャの訃報を聞いて声を上げて笑いました。コニーは「あいつはエレンじゃない」と断じ、ジークと共謀してパラディを裏切るつもりではないかとまで邪推しています。

そうなったら奴を斬るっきゃねーというコニーの発言にミカサは強く反発。瞳孔がこれでもかと縮小した鬼気迫る形相のコニーとガンの飛ばし合いです。怖い。

かつてエレンは巨人の後継者として同期を選ぶつもりはない、少しでも長生きして欲しいと話しており、ミカサはそれを根拠にエレンの仲間思いを説きます。一方でジャンは、昔のエレンならミカサやアルミンを戦場へ駆り出し戦力として使うことはなかっただろうと反論。結局、エレンの内心はわからないままです。本当のところは読者にも分かりません。

アルミンはエレンの真意を問いただし、エレンがパラディの味方であることを改めて証明する必要があると言います。もしジークと共謀し害をなそうとしているならば、他の巨人を仕立ててエレンを食わせる選択肢も視野に入れる。エレンと最もちかしいアルミンが放った予想外の現実論に、ミカサだけでなくコニーやジャンも驚きを隠せず。当のエレンは独房のベッドに座って虚空を三白眼でねめつけ、読者へ向けてカッコつけていました…。キリッ

パラディ島で脱走し潜伏中のガビ&ファルコ

看守をボコって脱獄したガビとファルコは夜通し逃げ続け、川原で小休止。

精神が不安定で錯乱気味のガビと、彼女を好いちょるので放っておけないファルコはポカスカ小競り合いを始めます。元気ですね。

そこへ住民の少女が木陰から声をかけ、家出してきたというガビの話を聞いて朝食へ誘います。2人はとりあえずついていくことにしたようです。

この子どっかで見たことあるな…と思って記憶の引き出しを探った結果、サシャが地元の村で「走らんかい!」って叫んでた時の子に似てる気がする。

180809_01↑ガビとファルコの前に現れた少女。

180809_02↑9巻36話より。この子が成長した姿なのかしら?

この子を命がけで巨人から守ったのはサシャで、そのサシャを殺害したのはガビ。そして今度はガビをこの少女が助ける。ガビが葛藤を抱える材料としてはありえるのではないでしょうか。

ジークの造反に気づいた戦士隊

瓦礫の山と化したレベリオで、マガトら戦士隊はある事実についてミーティング中でした。

ジークの体が足りない。死亡を偽装して飛行船で逃げたに違いない。

…あっさりと偽装工作がバレています。リヴァイに爆破された「獣の巨人」の残骸をいくら調べても、ジークの手足以外は見当たらないそうですが、それを根拠にあっさりと「ジークは裏切った」と断定しているのはちょっと謎ですね。これまでの実績を鑑みれば「拉致された」と考えるのが自然だと思うのですが…。

傍証として対人型立体機動装置にマーレの技術が反映されていること、飛行船の操船技術が優れていたことなどから、少なくとも4年前の調査船派遣時にはすでにエルディア復権派の同士をパラディへ送り込んでいたのだろう…と、マガトは鋭すぎる洞察力を発揮。わずか2ページで長年を費やしたジークの目論見がすべて露見しています。姿を消しただけで心配されるよりも先にここまで迅速に正体を暴かれてしまうとは、思わず僕も苦笑い。

「ずっと一緒に戦ってたのに、裏切り者だったなんて…」と悪態をつくポッコの横で硬直するライナーの表情が味わい深いですね。

マガトの説明では、世界連合軍の結集を待ってパラディ島に焦土作戦が実施される。その時期は半年後。コルトはファルコとガビの身を案じ、半年も待っていられないという焦りを隠せません。

コルトに加勢したのはライナー。半年も猶予を与えてはジークの企みに加担するようなもの。思惑を挫くためには時間をあけず奇襲を行うべきだと机を叩いて強く主張します。最近の弱腰なライナーにしては珍しい強硬論です。マガト程度の発言では世界連合軍の計画は揺るがないでしょうから、戦士隊が単独でパラディへ潜入することになるでしょうか。

しかし奇襲と言っても敵地の情報がまったくない状態では困難と思われます。ジークを殺害するにせよ、ファルコとガビの救出を目指すにせよ、所在が分かりません。現地で誰かをとっつかまえて拷問でもすりゃいいという心算なのか? そもそも何をもって作戦の成功とするのか? 少数精鋭の巨人戦士隊を送り込んだとて、かつて彼らは調査兵団に敗北しているわけですから、同じ轍を踏まされる危険は大いにあります。ライナーが考える作戦の中身が早く知りた~い!というところで次号へつづく。

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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