進撃の巨人 ネタバレ考察

(136)心臓を捧げよ

土壇場で自らの可能性を引き出し、文字通り空を駆ける翼を手に入れたファルコ。
その背に乗って駆けつけた救いの手によって九死に一生を得たジャンたちだったが、アルミンは連れ去られ、ピークは頚椎爆破に失敗。希望の見えない戦いは続く。

敵はユミルが無尽に繰り出してくる九つの巨人のデッドコピー。消耗戦では確実に負ける。
起死回生の一手はどこにあるのか──。

進撃の巨人 第136話 心臓を捧げよ
別冊少年マガジン 2021年2月号(1月9日発売)掲載

翼の上で

ファルコが変身して飛び立った時、危惧した通りキヨミらが乗る輸送船は転覆していたらしい…。そして脱出ボートに乗るイェレナの仏頂面が見られたので僕は満足です。やはり彼女は神なき世界に生き残るという罰を受けるんでしょうかね。

 

さてフライングファルコの背中では作戦会議が行われていました。アルミンは巨人に飲み込まれて尾骨の方へ、一方の頭部付近ではピークが爆破に失敗し生死不明。アルミンとピークを救出しつつエレンの頚椎爆破を狙うため、リヴァイは班を分けての両面作戦を提案します。と言っても「突っ込んで暴れてなんとかする」以外の具体的な手法はないのですが。

「エレンを殺そう」

ミカサ以外の全員の意見は一致しています。頭数も物資も足りず、全滅寸前。実際、ファルコが飛んで駆けつけなかったらもう全員死んでたわけで、エレンの生命を尊重している余裕はどこにもないのです。呆然とし首を縦には振れないミカサですが、アニのフォローもあって取り乱すことはありませんでした。マーレ編になってからのミカサは最強無双メスゴリラから一転してクヨクヨナヨナヨした場面ばかり目立ってしまい僕は悲しい。けど多分最後はビシィィィッと決めてくれる、そのカタルシスを得るのに必要な溜めだと信じてる。

ガビは言います。エレンの首をライフルで撃ち抜いた時、エレンの背骨から光るムカデが飛び出して首と繋がった。あれが始祖の巨人の正体ではないか?と。当サイトでは便宜上「始祖ムカデ」と呼ぶことにしましょう。

始祖ユミルが生前に人狩り遊戯の的にされた時、逃げる途中で滑り落ちた巨大樹の地下溜まりでひっそりと生きていたモノ。ユミルに寄生し巨人化の力を与えた始祖ムカデが全ての巨人の力の源であり、それを滅ぼせば力は消滅するのではないか?…と彼女は言外に提案しているわけです。

これは筋の通った設定に思います。

例えばスマホが故障したり買い替えたりする時、SDカードを差し替えれば保存していた写真などのデータは別のスマホへ簡単に持っていけますよね。スマホは人間、SDカードは始祖ムカデです。宿主である人間が死んでも始祖ムカデは次の人間へ乗り換えればよく、データ(継承者の記憶)もそのまま移植できる。逆に保存先であるSDカードが破損してしまえば(最近はクラウドストレージにバックアップしてあるのが普通ですが…)データを取り出すことは難しい。始祖ムカデを破壊すれば始祖の力は消え、継承者の寿命縛りも消える(多分)。ついでに地ならしの大型巨人も人間に戻って、これが新たな人類史の夜明けぜよ! ~完~

とすると、これからやるべきはエレンの首に巻き付いたままの爆薬を使い、始祖ムカデを引きずり出してダメージを与えること。確証がないためあくまで第一目標は「エレンの殺害」ですが、その過程で始祖ムカデが姿を現した際にはそちらも標的とする…といったところでしょうか。

 

巨人に向かって飛ぶファルコを見上げてほんのわずかに士気を取り戻した研究所の兵士たちが、野戦砲の援護射撃を準備します。そこへゾロゾロと現れたエルディア人避難民の集団。先頭を歩くのはレオンハート氏で、負傷者の救護を頼みに来たようですが、たがいに武器を持っていることから緊張が走ります。にらみ合いが続く中、前に進み出た守備隊の長官ミュラーは拳銃を構え、ドンドンドンドンと4発発砲音が響きました。

それを上空で聞いたジャンは基地で人間同士の戦いが起こったのだと考えたようですが、おそらく長官は拳銃を上に向けて撃ち弾倉をカラにし、武装解除を行動で示したんじゃないでしょうかね。描写はないので答え合わせは次回以降です。

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再突入

さあ再突入です。翼を畳んで急降下するファルコ。頭部付近へはライナーとジャンが着地。鎧の巨人が暴れて敵をひきつけ、ジャンが一気に駆け抜ける手はず…が、ダメッ・・・・・・!! そりゃあ・・・普通・・・増やすよな・・・下僕をっ・・・! ぐにゃあ~~~~ 起死回生の一点張り、命をチップに替えてテーブルに全乗せしたジャン、早くも楽観的予測が外れて崖っぷち。クカカカカ・・・!どこからか兵藤会長の笑い声が聞こえてくるようです。行く手には背骨から次々に湧いて出る巨人たち。設定が雑な異世界もののグールかお前らは。その最奥ではピークの車力をフォークで貫いた戦鎚が振り向いてジャンの動向を伺っています。

ピクリとも動かない車力から蒸気を切り裂き飛び出したのはピーク。健在です。すぐさま新しい車力を生成すると戦鎚のうなじへ飛びかかり、一撃必沈の食い破りクリティカルで戦鎚がダウン。ジャンの心配をよそに車力は次々と群がる巨人を食い破り、撃破されるとピークが脱出して瞬時に次の車力を生成するというゾンビアタックで粘る。

車力は爆発的な戦闘力こそないものの持久力に優れ、数ヶ月は巨人化したままでいられるなどスタミナに特化しています。本人の消耗度も他の巨人と比べて軽いようで、何百回でも連続して車力ボディを呼び出すことができるらしい。そんなポテンシャルが代償なしで発揮できるなら他に使うべき局面が今までなんぼでもあっただろwと思わないでもないですが、そういうことは言わないのが大人の読者というものです。

「私に構わず先に行って!!」と、一度は言ってみたいセリフランキング殿堂入りの大見得を切ろうとしたピークですが、ジャンはその言を待たずとっくに飛び出して先へ進んでいました。どフリーからのミラクル3ポイントシュートで一発逆転、行けジャン!…が、ダメッ・・・・・・!!(2回目) 背骨から湧き出る巨人は際限がなく、ピークが何体か食いちぎったところで大して影響ありません。ジャンは進むに進めず立体機動で一旦腹の下へ避難せざるを得ず、また追い込まれる形になりました。ピークがせっかくディフェンス引き受けて見せ場をくれたってのにこの男はほんと決定力が足りないなまったく! そんなことではエレン亡きあとミカサをワンチャンゲットできないぞ!

さてピンチに弱いジャンを尻目に、ファルコに乗って尾骨側へ向かったのはミカサ・コニー・アニ。ガビとリヴァイは引き続きファルコの上で待機しています。ガビは対巨人ライフルでなけなしの援護要員。リヴァイはただでさえ満身創痍な上に前回コニーをかばって足が使い物にならず、乾坤一擲の捨て身要員として温存。回想モノローグ多めで死臭がプンプン漂ってきます。もはやジークと刺し違えたくてウズウズしてるようにしか見えませんが、獣の傀儡もジーク本人も見当たらず、今はただ耐えるのみ。

アルミンを食ってさらったオカピ型の巨人に目星をつけてアニたちが急襲するも、素早くすり抜けて頭部方向へ逃げ去るオカピ。女型はミカサを投擲して追いつかせますが、別の巨人たちが肉壁となり斬撃を阻止。鎧の傀儡にブレードを折られ手間取った隙にオカピは超大型傀儡の下へ逃げ込んでしまいます。アルミン奪還はならず、その上完全に包囲された3人。打つ手なし。

座標の砂漠

皆が傷つき追い詰められていく様を見ながら無力な自分を叱咤するアルミン。どうして僕の体は動かないんだ…と1巻の頃と同じセリフをさりげなくこぼすファンサービスも忘れません。ひとしきり泣き喚いたあと、足元に砂があることに気づきます。ここはオカピの口の中ではない。「道」の中だ。そう認識して辺りを見やれば、広がる砂漠に光の大樹。そして振り返ればそこには、ぺたんと座り込み砂山作りに興じるジークがいました。

覚えていますか? 始祖の力はジークの持つ王家の血がなければ発動できない。だからジークをエレンから切り離せば地ならしは止まる。よしジーク殺そう、という作戦をリヴァイが立てた時、道を通じてジークのとこに行けば物理的な障害は意味ないよね!と僕が言っていたことを。予想通り、ジークがどこに隠れていようが「道」を開けば一瞬で会えるのです。

ただアルミンが予期せず邂逅したジークはもはや現実に興味なしといった様子で、背を丸めて座り砂山遊びをしています。ユミルに取り込まれて隷属させられ、王家の血というアイテムとして扱われているのでしょう。地ならしによる人類粛清はジークの本懐ではありませんので、説得して味方に引き入れることができれば地ならしを止められるかもしれません。どうやら話はジーク殺害ではなく説得の方向に転がるみたいですね。とするとリヴァイの死に場所はどうなるか。

「こんにちは、エレンの友達。君もユミルに食われたか…。」

そう言って、精気のない瞳を少しだけ向けたジーク。どうやら意識はあり会話はできる様子で一安心。諸葛アルミン孔明、大勝負の行方は? ~つづく~

人類は滅びたのか?

地ならしがパラディを出発して今はスラトア要塞の近辺が最前線なわけですけど、作中世界が地球と同じ規模だとするなら、地ならしが通ったのはマダガスカルからアフリカ大陸の範囲にすぎません。アフリカ大陸が地球上の陸地に占める面積の割合は約2割で、ヨーロッパもアジアもアメリカもまだ無傷(のはず)ですから、実は人類の8割くらいは普通に生き残ってるんじゃないでしょうか。一個人が引き起こした人災としてはどえらい規模に違いありませんけど、人類種そのものは割と普通に生存繁栄してて、今後は遠くの大陸と交流交易しながら巨人のない世界で新しい国を作ろうぜ、といった終わり方なんでしょうかね。

始祖ムカデが巨人の力の正体だと作中で示唆されたことで、これを排除することで巨人の力を消滅させられる、という含みがなされました。おそらく巨人の力そのものが消滅し、エレンが望んだ「巨人を一匹残らず駆逐」は果たされることになるでしょう。始祖ユミルの思念とエレンは光の柱とともに消え、「道」もなくなり、そして美しく残酷な世界に自分の意志で生きていくことを決意するミカサ。その首にはエレンのマフラーが巻かれていた…。こんな感じが僕の考える幕引きですが、これじゃどっかで見た感アリアリで無難すぎますよね。思い出そう、別マガのテーマは? そう、「絶望」!最終回ラストのページをめくったらそこには「進撃の巨人 続編制作決定!!」とか書かれていて主に読者が絶望する可能性を考えただけで怖くて夜も8時間くらいしか眠れません。続編かどうかはともかく、外伝とかスピンオフは絶対ぽこじゃか出るだろうけど、ちょっとは余韻をくれ余韻を。10年の思い出を噛み締めてるとこに矢継ぎ早に次の皿を持ってくるんじゃない、ということは編集部に強く言いたい。

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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