進撃の巨人 ネタバレ考察

第58話 銃声

■最近のお話

クリスタ(本名ヒストリア)が実は正当な王家の傍流にあたる王女様だった!

エルヴィン「政府は何か隠してる! よし、ヒストリアの即位を大義名分にいっちょクーデターして壁や巨人の秘密を暴いてやろうぜ!」

作戦は「商会と結託してエレンをわざと政府に誘拐させ、政府施設内で巨人化して一気に制圧!」これだ!

作戦ばれてました~w 相手は憲兵団の対人制圧部隊です~
その隊長は「切り裂きケニー」、リヴァイの育ての親でしたとさ。

エレンとヒストリアは本気で誘拐され馬車で移送中。
リヴァイら追跡部隊は切り裂きケニーの部隊に待ち伏せされて半壊。
近くにはミカサたちも待機していますが…?

進撃の巨人第58話 銃声
別冊少年マガジン2014年7月号掲載

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対人戦闘

兵団の訓練には対人格闘術もありましたが、立体機動はそもそも対巨人の空間戦闘を想定したもので、街中で人間の集団を相手に立ちまわるような動きは教練にはないはずです。

が、そこは地下街出身のゴロツキ代表、リヴァイ選手。不意の襲撃にもキッチリ置き土産を返してケニーと渡り合います。ケニーの得物は対人用の散弾を詰めた短銃、リヴァイはお馴染みのでかいカッターナイフ。切り裂きケニーなのに全然切り裂いてないのはまあ置いといて、互いに有効打を与えられないままリロードの隙にリヴァイは逃走。眼前で遠ざかるエレンとヒストリアを乗せた馬車。しかし今は生き延びることが先決です。

 

憲兵団対人制圧部隊は随所に待ち伏せも配置。上方から3人がかりでリヴァイへ発砲しますが、さすがに高速で飛び回る的へ当てるのはそう容易くありません。跳弾、もしくは銃撃を浴びたレンガの破片で顔をケガしたリヴァイは近くの酒場に立体機動でダイナミック入店!やけにファンシーな顔の店主が哀れに怯えています。

ここがロアナプラ(※『ブラックラグーン』の舞台)ならこの程度は日常茶飯事。店主や客たちも芝居がかったジョークで笑い飛ばしてくれるのでしょうが、どうやら進撃の巨人の世界では街の中はそれなりに平穏なようで、ちょっとリヴァイが店の正面扉をぶち破ってカウンターの奥へ隠れた程度で凍りついてしまいました。

追う側のケニーは割りと悠長で、余裕のつもりなのか大声で自分の場所をアピールしながらのご入店。なんだこのポーズはw

切り裂きケニー怒りの入店ポーズ

こんなのが銃を構えて入ってきたら、そりゃ店主も怯えるっつのw

これがシリアスな笑いってやつか…と「バクマン」の一節を思い出しつつ、本筋を読み解いていきましょう。この時2人が交わした会話からわかることは
・2人は久しぶりに会った
・ケニーはかつてリヴァイと行動を共にし「処世術」を教えた
・ケニーは「やりたいこと」「大いなる目標」が見つかり、その実現のためにリヴァイと袂を分かった

まあ要するに具体的なことは何もわかってません。こんな調子で伏線を増やしていって大丈夫なんでしょうかこの作品は。

そんな感じでモヤッとした問答の後、リヴァイは店に備え付けてあったライフル銃を使い、棚の酒瓶に映った像を頼りにケニーを銃撃。ケニーが倒れると一転屋外へ飛び出し、立体機動装置のアンカーを人に刺して攻撃に転じます。 

喉元をアンカーで貫かれて死亡した憲兵をぶら下げたままワイヤーを巻き取り、そのまま肉の盾として利用。残る相手2人は正対しており武装は短銃。肉の盾で十分防げる状況です。リヴァイのブレードが一閃、そして憲兵の死体が2つ増えました。後方から敵の増援、ざっと10人以上。遁走するリヴァイを追う対人部隊。大捕り物です。

ちなみにライフル弾の直撃で店の外にまで森崎君ばりにふっとばされたケニーは普通にピンピンしてました。持ってた椅子が銃弾を防いだのか、衝撃吸収に優れた防弾繊維の服を着ているのか。そしてケニーをアッカーマン隊長と呼ぶ部下。彼の名前は「ケニー・アッカーマン」でいいのか? 

逃走劇

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さて、リヴァイの派手な立ち回りですっかり忘れていましたが、今の状況の目的はエレンとヒストリアの追跡です。そのためリヴァイらの馬を用意して待機していたミカサ、アルミン、ジャン、サシャ、コニーですが、どうも様子がおかしいことに気づきます。

銃声が聞こえたと思ったら、それがどんどん近づいてくる。普通は立体起動と銃は併用できません。ましてリヴァイなら相手が足を止めてのんびり銃を構えている間にはるか遠くへ逃げ去ってしまうでしょう。訝しむ面々の前に、追跡対象の馬車と立体起動で移動するリヴァイ、そして見たことのない装置で立体機動と銃を同時に操る集団が現れました。

リヴァイは身をひねって銃撃をかわし、ワイヤーを相手の体に打ちつけ、巻取って敵の動きを止めたのちブレードで胴を横薙ぎまっぷたつ。紛れも無い「殺人」です。

 

詳細はわからなくとも、リヴァイが追われている以上即応しなければなりません。合流した兵長は簡潔に指示を出します。計画がバレている以上、一旦エレンとヒストリアは諦めて追撃を振り切る。

エレンを手放すことに抵抗するかと思ったミカサも素直に従います。最近すっかり従順な乙女になってしまって僕は悲しい!もっと半狂乱になって後先考えず猛進するイノシシ女でよかったのに! まあミカサは強すぎるし物語上死なない位置にいるので彼女が暴れちゃうと緊張感がなくなるのは事実。リヴァイもそうですけどね。「こいつが画面にいるときは安心」みたいな記号になっちゃってます。

緊張感と言えば、最近はめっきり人が死ななくなりましたね。今のキャラクター陣に死んで欲しいとは全く思わないんですけど、一瞬で仲間が蒸発していく地獄絵図だった旧リヴァイ班の頃に比べると漫画の趣きがだいぶ変わりました。

 

敵は殺せというリヴァイの命令に、一瞬間を置いて応えるミカサ。その様子を不安な面持ちで見つめるジャン。以前はエレンに対して攻撃的な面を見せることが多かったジャンですが、人殺しに関しては非常に消極的で臆病、ある意味普通で健全な精神を持っています。「ジャンは強い人ではないから」。かつての友が言い当てたジャンの内面。もしマルコが今この場にいたら、彼はためらわずに人を殺せるのでしょうか…。

ミカサは子供の頃に誘拐犯を刺殺した経験を持ち、自分たちが生きるために他を殺す必要があるという世の中の理法を体で知覚しています。なおかつ彼女が優先する命はエレンただ一人。最近は結構まろやかになってはいますが、それでも他の生命はかなり軽く見ている節があります。目的意識が明確で不純物が入る隙間のないミカサ。一方でジャンは巨人は殺せても人殺しは躊躇します。

「クソッ…また人が死んだ! 何でこんなことに…!」

リヴァイとミカサを見ているだけで引き金を引けないジャン。ミカサが叩き落とした敵の一人が荷馬車へ落下します。至近距離で銃を突きつけるジャン。

「動くな!」

驚いたのは荷馬車の手綱を握るアルミン。何をそんな悠長な…相手は僕らを殺しに来てるんだよ、すぐに殺さないとこっちがやられる…!という内容を「ジャン!?」という一言に詰めこんで抗議しますが、ジャンは隙を突かれてあっさり銃を弾き飛ばされ丸腰に。逆に相手に銃を向けられ呆然とへたり込むジャン。ミカサの位置が馬車から遠く、救出は間に合わない…!

パン、と乾いた音が響き、ジャンが被っていた帽子が宙へ舞います。そして飛び散る血しぶき。ジャン・ジ・エンド。「最近は緊張感がない」なんて言ったそばからこれですよ。まったく油断できない作品ですね。

 

ページをめくるとそこには散弾で顔を吹き飛ばされたジャンの惨たらしい死体が…と思ったら唐突な場面転換! これはジャン普通に生きてますわw

少し時間が経ったようで、エレンとヒストリアはどこかに運び込まれていました。彼らが詰め込まれた棺の蓋をあけたのはケニー。そしてヒストリアのさるぐつわを解いているのはロッド・レイス。彼女へ向けて開口一番、「ヒストリア 今まですまなかった」。レイス卿はそう言って彼女を固く抱きしめるのでした…。

ヒストリアを抱きしめるロッドレイス

次号、レイス卿の口からは何が語られるのか? そしてジャンの生死は?
つづく

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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