進撃の巨人 ネタバレ考察

(67)オルブド区外壁

神の器となることを拒み、巨人化薬の注射器を床に叩きつけて破壊したヒストリア。

進退窮まりやむを得ず自らが巨人となったロッド=レイス。

ロッドの巨人化による洞窟の崩落に巻き込まれたリヴァイ班。最後の頼みの綱はエレンの巨人の力。

今こそ自分を信じ、エレンは仲間たちの生命を救うことができるか!?

進撃の巨人 第67話 オルブド区外壁
別冊少年マガジン2015年4月号(3月9日発売)掲載

[nend_01]

約束を守らない男

「今日は時間がないので後日更新します」

前回の記事の最後にはそう綴られている。「進撃の巨人」作中のことではない。このブログのことだ。

正直に言おう、忘れていました。ごめんなさい。

こうして素直に謝ることで「俺はちゃんと謝ったのに、それをいつまでもグチグチ言う奴は器が小さい」と逆ギレ気味に開き直ることができる。

ちなみに前号の発売日は出張先のホテルで記事を書いていたが、今号も全く同じだ。加えて今日の部屋は電波状態が悪い。

そんなわけで、筆者は約束を守らないと責められるどころか、むしろこれだけ忙しいにも関わらずPCに向かって記事を書こうと努力している姿勢を賞賛されてもいいと思う。

とまあひとしきり言い訳をしたところで、そろそろ本題に入っていこう。

エレン、硬質化能力を獲得?

崩れる天井を押しとどめる格好で、巨人エレンの体から放射状に広がった柱。

ドームのような空間を形成し土砂の崩落からリヴァイ班を守った巨人エレンは、明らかにこれまでとは異なった姿をしています。

150309_01

特筆すべきは、うなじからエレンが脱出しても巨人の形成した構造体が消えないこと。これまでは巨人からエレンが排出されると即座に蒸発して骨も残りませんでした。

これで分かったことは「巨人化薬は巨人の特徴によって分類されている」「薬の多重使用によって能力を追加(もしくは上書き)で獲得できる」という事実です。

今まではエレンがどれだけ努力しても糸口すらつかめなかった硬質化能力でしたが、「ヨロイ」と書かれた薬を飲んだらいきなり発現。巨人はその能力の利用目的ごとにかなり明確に区別されていることが窺えます。

進撃の巨人の世界を囲む「壁」はどのようにして出来たか? という疑問の解がこれで証明されたと言ってよいでしょう。巨人は自分の体の延長として構造体を組み上げることができる。そしてそれは巨人から本体が抜け出ても崩れない。(ただし壁の中には大型の巨人が非活性化したまま埋め込まれていましたが)

この能力をエレンが獲得したことで、壁の穴を塞ぐことが現実的に可能となりました。第1話で超大型巨人が蹴破り、その時の破片でイェーガー家が破壊されたあの時にできた穴。あれを塞ぎ、中に残った巨人を殲滅すれば、グリシャが隠していた地下室の中を確かめることができます。

グリシャの記憶を垣間見、父が大量殺人を犯したことを知ったエレンは複雑な面持ち。

異質な巨人へと変貌したロッド=レイス

巨人化したロッド=レイスはどうなったのか? エレンを補食し「叫びの力」を獲得することが目的だったのではないか?

崩落した天井から外へ出た面々が目にしたのは、巨大な体躯を持て余し立つことすら出来ず、その身から発する高温で周辺の木々を燃やしながら腹ばいになって蠢く肉塊でした。

エレンどころか他の人間に目もくれず、どこかを目指してズリズリと進む巨人ロッド。アルミンの目測では超大型巨人の倍くらいのサイズとのことですから、身長は100m超と思われます。ちなみに大阪の通天閣がちょうど100m。

もはやロッドの意思が反映されているようには見えず、何らかの不具合が発生したものと推測されます。

不完全な状態で巨人化してしまったロッドを完全体にする手段は、エレンを食わせること。おそらくそれで彼は理性を取り戻し、「始祖の巨人」の記憶を身に宿した真の王となれるでしょう。

そして彼は人間の姿に戻るはずなので、それをただちに拘束して力を利用することができれば…。

この案を口にしたのは他ならぬエレン自身。父の罪を知り、自分の存在を無意味だと嘆いた後で考えた罪からの逃避手段です。要するに死んで罪滅ぼしがしたいだけ。

感情的にエレンを制止しようとするミカサですが、それを遮ってエレン犠牲案を論理で否定するのはヒストリア。一瞬アルミンと見間違うほどにペラペラと言葉を紡ぎます。

曰く、

・洗脳を解くのは簡単ではないと予想される

・ロッドが力を得たら拘束できるか分からず、記憶改竄能力を使われてはひとたまりもない

・グリシャにはおそらく何かの考えがあり、人類を救うために強盗殺人を犯した

非常に簡潔で的を射た論理です。ヒストリアの役どころの変化はかなり激しく、いくつもの役柄を見事に演じ分けていますね。

ほとんど話したこともない中年のオッサンに「パパだよ」と言われてあっさり感化されエレンを殺そうとする幼児性、その次は「何が神だ!」と注射器を叩き割って体制に背き、エレンを救おうとする反抗期。そして今度はロジカルに現状と解決策を示しており、脳筋ミカサとの対比もあってよほど大人に見えます。

ヒストリアの父離れ

重傷を負い馬車の荷台に横たわりながら話を聞いていたハンジは、ひとつの懸念を口にしました。

完全体に戻す必要がなければ、あの巨人を無力化するしかない。それはつまり父親を殺すことになると。

父との再会で得た束の間の「家族」。父の役に立ちたい、嫌われたくない、いらない子だと思われなくない一心でエレンを食い殺そうと考えたヒストリアでしたが、王家にまつわる秘密を知った今、彼女が出した答えは父との決別。血縁よりも仲間と生きる未来でした。

ヒストリアの了承を得て、じゃあどうやって巨人ロッドを始末するか?

まず考えられるのはエレンが叫びの力を行使してロッドを操り言うことを聞かせる作戦。エレンは何度も呼びかけますが一向に効果は現れず。やはり修練が必要なのでしょう。

巨人ロッドは超高温を発し樹木を燃やしながら進撃していますので恐らく体表付近の温度が250度以上あると考えられ、立体機動装置を用いた近接戦闘は不可能。

となれば遠距離から砲弾を浴びせかけ、トドメに巨人エレンを投入する方策がよさそうです。

オルブド区、迎撃用意

広告

巨人化し醜い肉塊となったロッド=レイスがズリズリと這って進む先には、ひとつの街区があります。その名をオルブド区。どうやら人口が密集している場所へ向かっているようです。

あえて住民を避難させずに囮として用い、確実に巨人ロッドの進む方向をコントロールすべしという調査兵団の要請に街の守備隊は猛反発。しかし万一誘導に失敗しウォールシーナが破られることになれば、人類の被害はまさに壊滅的なものとなります。ここは確実を期すため住民は避難訓練と称して集団行動をとらせるものの街の中に留めておくのが上策。合流したエルヴィンの説得もあり、作戦は決行。

ロッドが外壁へと迫る中、オルブド区は夜明けを迎えます。ずらりと揃った壁上固定砲台と、並び立つリヴァイ班。食欲が無いというサシャの言葉に驚くエレンでしたが、ジャンの「さっきまで散々人殺しまくってたせいかもな」という言葉の意味を理解できません。彼らがエレンとヒストリアを奪還するため、憲兵団の対人部隊と一戦繰り広げたことについて詳細は聞いていなかったようです。ジャンたちは目的のために覚悟を決め手を汚しました。その静かな言葉の重みに圧倒され言葉がでないエレンでした。

待機命令に反し、兵装で壁上へ参じるヒストリア。己の手で運命に決着を付け自分の生を取り戻すため、戦うことを選んだようです。その迫力に押し切られるリヴァイ。

史上最大の巨人を前に、兵団総力を上げた砲撃戦が幕を開ける…!

次号へつづく

余談 奇行種とはいったい…うごごご!

本筋とは関係ありませんが、ハンジの説明で「あれ?」と首を傾げた読者の方も多いのではないでしょうか。

「目標の巨人はより大勢の人間が密集する方へと吸い寄せられる…いわゆる『奇行種』」

大勢の人間に吸い寄せられるのが普通の巨人で、そのルールを無視して予測の出来ない行動をするから「奇行種」だったと思うのですが…?

ハンジの説明では逆になっていますね。何か理由があるのでしょうか。

(追記)読者さんからお便りを頂きました。

第5話(単行本2巻収録)で、
「クソ!!なぜオレ達を無視して住民の所に行くんだ!!」
というセリフがありますので、通常種は、目の前に一人でも人間がいれば捕食対象として認識し捕獲しようとするが、
奇行種は、目の前に少数の人間がいても捕食対象として認識せず、
ハンジの言うような特徴が見られるということなのだと思われます。

はい、言われてみればその通りでした。ご指摘ありがとうございます。

広告

別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

Return Top