進撃の巨人 第53話 信じるバカ 別冊少年マガジン2014年2月号掲載
巨人硬質化実験の失敗
ウォール・マリアの穴を塞ぐには、エレンが巨人化して鎧や女型のような皮膚の硬質化能力を使うしかない…!
そう結論づけた調査兵団はエレンを人里離れた山小屋に隔離し、秘密裏に硬質化能力の実験を開始していました。ニックを失ったショックでおとなしかったハンジもすっかり元気になって、またハッスルしちゃってます。
結果的には実験は失敗し、現時点でエレンには硬質化の糸口すら掴めていない状況。巨人化のタイムリミットや運動精度など様々なデータは取れましたが、エレンの硬質化に期待して作戦を立案するのは困難と思われます。
また巨人化能力を発現する際に派手な爆発や煙が発生するため、どうしてもエレンを狙う勢力に居場所を知らせることになってしまうのをハンジは危惧していました。
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何者かの記憶
記録によるとエレンは巨人化実験が一時間ほど経過したあたりで突如指示に反し、地面に「父さんが」「オレを」と書きだしたそうです。その後エレンの記憶は混濁を見せ、力尽きた後丸一日に渡り昏睡して目覚めた時には実験開始直後からの記憶がほとんどありませんでした。
無力感と罪悪感に苛まれるエレンがリヴァイとハンジの「無力さを知るところから始まる」というメッセージを反芻しているうち、父であるグリシャの安否に考えが及びます。シガンシナ陥落後、エレンに謎の注射をして姿を消したグリシャ。今はどこで何をしているのか、それとももう死んでいるのか…?
ちなみに当ブログの筆者はエレンが無自覚にグリシャを殺害したのでは?と考えていますが、もし予想が当たった時には思い出して下さい。ああ、あのブログを書いてる人がそう言ってたよね、と…。予想が外れた時は経済ジャーナリストたちの厚顔な振る舞いを見習いたいと思います。
エレンの脳裏に父の背中が浮かんだと思いきや、突如そこへ別の映像が割り込んできます。
それは読者もエレン自身にも見覚えのない、鏡台に向かい髪をブラッシングする女性の姿でした。
エレンはその女性をヒストリアかと思いますが即座に別人と気づき、その記憶がいつのものか探ろうと試みるものの数瞬でまた記憶がぼやけ、何かを思い出したことさえ忘れてしまいました。
鏡に向かっている女性を主観で眺める映像ですから、この記憶の本来の持ち主はあの黒髪の女性その人であると思われます。彼女が何者であるかは全くわかりませんが、背景に天蓋つきのベッドが置かれ、壁には絵画らしきものが飾られていることからそれなりに裕福な身の上でしょう。燭台が見えることからも文化水準は今の壁内とさして変わらないように思えます。パソコンやドライヤーがあったわけではありません。
記憶というキーワードで想起されるのは、グリシャがエレンに残した「(巨人の力の)使い方は彼らの記憶が教えてくれるだろう」という言葉。巨人化能力と一緒に脳へインストールされるマニュアルの類でしょうか。
エルヴィンとナイル
エレン奪還作戦で右腕を失う重傷を負い入院していたエルヴィンは、無事退院し憲兵団のナイルと共に王都ミットラスへ赴いていました。
訓練兵として同期であり、かつて同じ女性に恋をしたライバルでもあった二人はそれぞれ違う道を生き、今も違うものを見ています。昔話と忠告…馬車の中で骨ばった会話を交わした後、エルヴィンが降り立ったのは大きな壁と門扉で守られた荘厳な建物。行政の中枢、あるいは禁制の史料などを扱う場所と思われます。警護の兵がいないのが気になりますが。
建物の正面上部には紋章。それを見上げるエルヴィンの目には何らかの決意が宿っていました。
エレンとクリスタの誘拐
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場面は変わり、新リヴァイ班の潜伏先の山小屋。
エルヴィンからの指令が書かれた密書を全員に読ませ焼き捨てるリヴァイ。104期たちの顔には戸惑いの色がはっきりと浮かびます。
そのまま全員で出発しますが、入れ違いで中央憲兵の息のかかった輩たちが小屋を取り巻くのが遠くの崖から見て取れました。エレンの巨人化実験はやはり確実に居場所がバレてしまうようです。
そのままトロスト区へ戻った彼らはある目論見をもって街を歩きます。市民たちの王政や兵団への不満は募っており、群衆に取り囲まれて暴動一歩手前まで緊張が高まった時。
人の群れ目掛けて一台の荷馬車が猛然と突っ込んできました。荷台に乗った二人の男たちが慣れた手つきで鮮やかにエレンとクリスタをさらい、そのまま馬車はスピードを上げて走り去ってしまいます。呆然とその馬車を見送った群衆が振り返ると、そこにリヴァイ班の姿はなく、砂埃だけが風に舞っていました…。
監禁場所で
どこかの倉庫で椅子に後ろ手で縛られているエレンとクリスタ…と思いきや、二人は替え玉です。正体は例によってジャンと…女装したアルミン。アルミンは誘拐犯に体を撫で回されて涙目になっています。本物の二人はどこかの一室で待機していました。要するに囮作戦。
あらかじめ襲撃を予測し馬車の後をつけたのでしょう、監禁場所には武装したリヴァイ班が集まっていました。リヴァイ、ミカサ、コニー、サシャと戦闘力は申し分ないメンバーです。女型からミカサを守った際のケガで欠番扱いだったリヴァイも復帰。次号は誘拐犯がケツを蹴り上げられて涙目になるシーンが予想されます。