進撃の巨人 ネタバレ考察

(26)好都合な道を

不随意の巨人化

巨人化能力を使いこなすための訓練中、前触れも許可も自覚もなしに突然右腕を巨人化させてしまったエレン。
リヴァイ班のメンバーは班長のリヴァイを除く4人でエレンをぐるりと囲み、抜刀して彼を睨めつけています。

恐々とし距離を取ったままエレンを問い詰めるエルドやオルオら。
彼らが抱えている任務はエレンの保護と監視、さらに必要であれば実力を持ってエレンを行動不能に追い込むこと。
目の前にいるのはピンの抜けた手榴弾のようないつ爆発してもおかしくない危険物。それも超特大の。
エレンがもし「巨人側」の存在だとしたら、悠長に言葉を交している場合ではない-。
数多くの巨人を殺してきた経験豊富な彼ら精鋭班であるからこそ、その脅威には敏感にならざるをえないのでしょう。

一方でリヴァイは落ち着いています。
エレンのそばで他の班員から庇うように立ちメンバーを諭しますが、興奮した班員たちはリヴァイの言葉に耳を貸そうとしません。

が、さらにその上を行く大興奮な人物が雄叫びとともに木立の向こうから駆け寄って来ました。
巨人偏愛症候群のハンジ君。
グンタを突き飛ばしてエレンに駆け寄ると、素手でエレンのむき出しの巨人腕を掴みその熱さに自身もヒートアップ。
サッカーの試合でゴールを決めた選手のように膝でスライディングしつつ天を仰ぎ、歓喜を全身でアピールです。

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ハンジの言葉で我に返ったエレンは、巨人の右腕から自分の腕を引っこ抜いてしまえば巨人部分が消失すると思い出します。
力を込めるとブチッという肉が千切れる音と共にエレンの腕が抜け、巨人の腕は蒸気を噴いて霧散しはじめました。

 

特別作戦班

落ち着きを取り戻した施設内で、自分が全く信用されていなかったことにショックを受けたとエレン。
リヴァイは調査兵団の精鋭たちのことを語ります。
彼らが非常に多くの巨人と渡り合ってきた達人であること、
生き延びるために迅速な行動と、最悪を想定した非常な決断が常に求められてきたこと・・・。
そんな彼らだからこそリヴァイは信用して班員に選んだこと。

他のメンバーたちと再び合流し、今回の件について事後ミーティングです。
食堂で待っていた班員たちはハンジを除きエレンを緊張した面持ちで見ています。
少なくとも友好的とは言いがたい表情。

かまわず切り出したハンジが言うには、巨人の右手が指でティースプーンをつまんでいた。
そして熱や圧力による変形はない。
エレンはスプーンを拾おうとした時に突然巨人化したことを思い出して伝えます。
そこからハンジが導いた推論は、「巨人化能力は何かしらの用途があって存在している道具」。
明確な目的がなければ巨人化能力を行使することは難しいのではないかと考えます。

そして同時に「人を食べる存在でしかない巨人は 誰にとって都合がいい存在なのか」という疑問。
巨人は明らかに人為的に作られたものです。こんな生物が自然に発生するはずがない。
では何のために巨人は存在しているのか?
単純に考えれば敵対勢力を脅かす自動兵器、あるいは人類を一定の領域に押しとどめておくための檻・・・
といったところでしょうか。

ハンジとエレンのやりとりを見ていたリヴァイ班のメンバーたち。
エレンに害意がないとやっと納得し、互いに目で合図をするとおもむろに自分たちの右手の親指の付け根を噛み始めました。
血を滴らせながらエレンと同じ痛みをわずかでも共有しようとするリヴァイ班。
これが彼らなりに考えたけじめであり、信頼を共に得るための代償した。

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都合のいい道

長い回想が終わり、場面は「今」に戻ってきます。
巨大樹の森を急ぎ駆けるエレンとリヴァイ班。後ろに迫る女型の巨人。
彼女の足止めをするため次々と調査兵団の増援が現れては羽虫のように瞬殺されていきます。

エレンは重大な決断を迫られていました。すなわち、
決まりを破って巨人化し、自ら女型に応戦するか?
調査兵団の組織を信じ、目的も作戦も知らないまま進むか?
エレンはペトラの右手の歯型-「信頼」の証-を見て、仲間に未来を委ねることを決意しますが、
直後に名もない隊員がまた犠牲になるのを見て早くも後悔します。

逡巡するエレン。
仲間や信頼という美しい言葉にすがりたかった。
自分にはその力があるのに戦おうとせず、歩調を合わせて群れの中にいる方が都合がいい。
だから仲間を見殺しにする「美しい」道を選んだ。
およそ少年漫画の主人公らしくない、力に怯え異端扱いにストレスを受ける普通の人間像です。
一匹残らず巨人は皆殺しだー!と叫んでいたアグレッシブなエレンからこうも変わってしまいました。

なぜ自分はこの都合のいい道を選んでしまったのか・・・
すでに後悔をし始めているエレンに女型が追いすがります。

その時。エルヴィン団長の号令が森にこだまし、
女型の周囲四方から銛付きのワイヤー弾が爆音と共に放たれ、
不意を突かれた女型は無数のワイヤーによって絡め取られてしまいました。

リヴァイは当然この計画に噛んでおり、班の指揮をエルドに任せて自分はエルヴィンと合流。
仲間を信じた結果、女型を生け捕りにできたことに安堵し昂揚するエレンでした。

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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