物語を考える上で非情に重要な特別編。週刊少年マガジンへの出張です。
今回はエレンたち104期は登場せず、時系列で言うとエレンが岩で穴をふさいだトロスト区奪還作戦より1年ほど前、第34回壁外調査にさかのぼります。
主人公の少女はイルゼ・ラングナー。巨人によって潰走した第二旅団の構成員です。馬と立体機動装置を失い、徒歩でひたすら街を目指しますが帰還は絶望的。9回裏ツーアウトです。巨人と遭遇した時点で3アウト確定。 彼女にできること、それは今の状況を克明に記録し続けることだけでした。
「武器はないが私は戦える この紙に今を記し 今できることを全力でやる 私は屈しない」
二宮尊徳も真っ青なランニングしながらの筆記で手帳に決意を書きとめた瞬間、目の前に巨人が現れます。OH MY GOD!! (THE END)
唸り声をあげてイルゼを押し倒した巨人。巨大な顔面がイルゼの目前に迫る中、イルゼはそれでも巨人の様子を手帳に書き続けます。
6m級、すぐに私を食べない… すると巨人はこれまでの物語で見たことのない行動を取りました。
「ユ・・・ミル・・・の・・・たみ・・・」 「ユミル・・・さま・・・」 「よくぞ・・・」
なんと、この巨人は人語を話します。進撃中学校に通っていた成績のいい巨人でしょうか?
人語を発する巨人との遭遇は史上記録にありません。これまで巨人とは様々な方法で意志の疎通が図られてきましたが、教科書にはそのすべてが失敗に終わったと記されています。
ユミルの民、ユミル様、よくぞ
これだけでは何のことかわかりませんが、ともかくこの巨人はイルゼに語りかけ、そしてひれ伏すようにして四つん這いになります。 イルゼはあなた達は何?どこから来たの?どうして人間を食べるの?と質問しますが、答えはなくうめき声だけ。 業を煮やしたイルゼはひれ伏す巨人へこの世から消え失せろ!と激昂、巨人はそれに応えるように自分で自分の顔の皮を引きむしり始めます。血を吹き出す顔面、異様な光景です。
イルゼは恐怖し背を向けて逃げ出しますが、次の瞬間には巨人に捕獲され、結局頭から食われて絶命。そしてその場には手帳が残り、一年後…。 壁外調査でその場所を訪れたリヴァイたちがイルゼのジャケットと手帳を回収します。この記録がどのようにして人類の役に立つのでしょうか?
なお、12巻ではこの特別編が特典DVDとしてアニメ化。前後に大幅なエピソードが追加され、この巨人のその後や回収されたジャケットと手帳の顛末も明らかになります。