ライナーとベルトルト、二人のこれまでの行動を振り返っておさらいしてみます。彼らは一体これまでどのような発言や行動をとってきたのでしょうか?
なお、当然ながら物語の核心に触れるネタバレを含みます。未読の方はご覧にならないことを強くおすすめします。
(コミックス既刊9冊分+別マガ2013年3月号まで) +単行本22巻までの情報を踏まえて加筆・修正しました(2017/04)。
[nend_01]
1巻
ライナーとベルトルトの名前が初めて出てくるのは訓練兵団卒業式の場面です。
なんと次席から5番(エレン)までが全員巨人化能力の持ち主。本来は10番にユミルも含まれているはずだったので、まさに巨人のバーゲンセール。大丈夫か人類。 また上位を独占するマーレの戦士たちを抑えて堂々と主席に君臨するミカサの異常さが際立ちます。
これらとタメを張れるあたり、普段はあまりぱっとしないコニーやサシャも実はクリリン並に異常な能力を持った一般人ですね。
ベルトルト、1巻のセリフここだけ!
しかしこの時点ではアニと共に憲兵団志望です。ライナーは語っていません。少なくともアニとベルトルトは権力の中枢へ近づき、「始祖の巨人」の在り処を探ることを目的としていたようです。
1巻ではライナーは鼻から飲み物を吹き出すくらいしか見せ場がありませんでした。
2巻
トロスト区に超大型巨人が出現、壁が再び破られて戦闘状態になります。
壁が破られ地獄の様相を呈するトロスト区で、巨人が次々と侵入してきている状況での一コマ。
巨人が集まってきて混戦状態になってから、それに紛れて自分たちが巨人化しウォール・ローゼを突破するつもりだったのでしょう。この後エレンの巨人化能力を見て「九つの巨人」の少なくとも1柱をエレンが持つことを知り、エレンの身柄を確保することを優先して計画を変更したと思われます。
なお、この際マルコに計画を感づかれたため、3人がかりで間接的に殺害していたことが後に明らかになりました。これだけ堂々と話していればそりゃバレるよな…。
仲間の安否や己の生死よりも、「九つの巨人」(エレン)の方が気になるライナー。さすがにこれはちょっと勇み足。アニが「ライナー、焦り過ぎ」とでも言いたげな顔をしてますね。
アニの無事を喜ぶライナーとベルトルト。ベルトルトの顔芸がジワジワ来ますね。戦士としての仲間意識というより、もし致命的な傷を負ってしまうとアニは能力で傷を治さざるを得ないでしょうから、それが露見せずに済んで良かったという風に見えます。
巨人に襲われる巨人(エレン)を助けると主張するライナーとアニ。ベルトルトの角度がこれまたジワジワ来ます。アニがこれほど積極的な発言をするのは珍しいですね。言ってることは嘘ですが、ここで使命につながる手がかりを失うわけにいかず必死です。この後、巨人の中から意識を失ったエレンが出てくるのを揃って目撃することになりました。
ここでエレンがモブ巨人に食われていたら、その場でモブ巨人が「進撃の巨人」と「始祖の巨人」を継承して人間に戻ることになったでしょう。
3巻
エレンの巨人化能力が発覚~トロスト区奪還作戦。
榴弾を防ぐため巨人の上半身を出現させたエレン。その煙を見て真っ先に反応したのがライナー、ついでジャン、アニ、ベルトルトでした。建物の屋根から彼らは巨人の上半身が出現しているのを目撃します。
この後ピクシス司令が到着し、エレンを中心にしたトロスト区奪還作戦が開始されますが、ライナーたちに関しては目立った描写がなく、どこで何をしていたか分かりません。4巻で遺体の運搬には従事しています。
4巻
広告
過去の訓練時代の話が中心です。
訓練兵としての通過儀礼を「面構えが違う」として免除されたと思しき面々。
ちなみに面構えがなってなかったのはコニー、サシャ、ジャンです。
エレンが巨人の目撃者だということで質問攻めにあっている時の図。シガンシナを壊滅させた「超大型巨人」と「鎧の巨人」が、この場で揃って話を聞いていたことになります・・・。
シガンシナ区を襲った張本人が被害者にインタビューするの巻。アルミンは黙って見てるなんでできないと答えます。
ライナーやベルトルトらがマーレ戦士隊でどのような教育を受けたかは定かでありませんが、ライナーはエレン誘拐を決行する際、俺はガキだったから、こんな連中がいるなんて知らなかった…と独白していました。
これはつまり、幼少からの教導課程で「壁内にいるエルディア残党は非人間的な悪魔の末裔であり、絶滅させるべき存在なのだ」とマーレでは教わっていたものの、実際に壁内で触れた人間たちは自分たちと大差のない、気のいいバカ連中だった・・・ということです。
ベルトルトも後に「誰が人を殺したいなんて思うもんかー!」と逆ギレしていました。そりゃそうですよね。パラディ島へ潜入するまでは、悪魔だからぶっ殺していいと教わってたんですもん。敵地に入り込み、長期に生活を共にするタイプの工作員には感化の問題が必ずつきまといます。スパイとして潜り込んだのにいつの間にか本気でシンパになってしまうということです。
マーレの戦士たちはまだ幼いうちから壁と海によって本国と隔離され何年もこちらで暮らしていたわけですから、洗脳が解けてしまっても無理はありませんが、その点で言えばかなり強固な意志を持っています。本国にいる家族が人質的な弱みとなっているわけですから、それを気にしているのでしょうか。
逆にこれまでのことを質問されたベルトルト。ストーリーは細部まで及んでいて全てが捏造とは思えませんでしたが、戸籍も含め全てデタラメ。 なかなかの演技力です。
自分が兵士を目指す理由は憲兵団の特権階級狙い・・・。普段は無口でセリフがほとんどないベルトルトですが、この場面に限ってはよく喋ります。嘘をついているから口数が増えるのでしょうか。
ライナーは「故郷」すなわちマーレに帰ることだけが目的だと宣言します。嘘は言っていませんが、エレンたちとの間には断固とした隔絶がありました。彼らが帰郷を許されるのは任務を果たした時で、すなわち「始祖の巨人」を奪還するか、パラディ島の壁内人類を全滅させるかに成功した暁となります。
ミカサに次ぐ力量、大柄な体躯と実直で高潔な精神を持つ、頼れる兄貴分。兵士としての責任や力の使い方についてエレンに真顔で説く場面もあります。
後に判明したところによれば、彼の兵士としての姿は意図して演技しているものではなく、いわゆる多重人格的なもので本人も嘘をついている自覚がない。つまりその時々においては本心で(思い込みで)話していたことになります。
これがライナーがモノローグでたびたび嘘をついてきた理由で、僕を含め読者はコロリと騙されました。普通、漫画では登場人物の内心モノローグはその人の本心が書かれるもので、そこには嘘はないというルールだからです。
目立たず騒がず3位をキープし続けるという、ジョジョ4部の吉良吉影のような男。そのくせ実は「進撃の巨人」の看板とも言える超大型巨人を操るキーマンでした。
トロスト区奪還を果たした後、事後処理の様子。遺体に向けて謝るアニ。謝っても仕方ないと諭すライナーと、横目のベルトルト。
素直に読めば「あなたを助けられなかった無力な仲間でごめんなさい」的な文脈なのですが、実は自分たちが巨人を呼び寄せて人類を殺してるわけですから、シンプルに「殺してしまってごめんなさい」という意味でした。
長くなったので前後編に分けます。つづき