進撃の巨人 ネタバレ考察

(75)二つの戦局

ようやくたどり着いたシガンシナでエレンは硬質化能力を使い壁の穴を塞ぐ。

罠を張り待ち受けていた獣の巨人と鎧の巨人が姿を現す。人間と巨人、どちらかが滅ぶまで殺し合う、多くの因縁をはらんだ戦いが始まる・・・。

進撃の巨人 第75話 二つの戦局
別冊少年マガジン 2015年12月号(11月09日発売)掲載

四足歩行型巨人

シガンシナをウォールマリア内から(つまり調査兵団がやってきた方角から)遠巻きにして様子をうかがう獣の巨人。
リヴァイに突き落とされたライナーは地表で鎧の巨人へと姿を変え、今度は壁を登り始めます。

エルヴィンは戦局を見極めようとしばし沈思黙考。眼前に迫る冷静さは失っていません。
その視界に、ひときわ奇妙な巨人の姿がありました。

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四つん這いでぼーっと宙を眺める表情はいかにも雑魚巨人のそれですが、普段と違うのはその背に樽や木箱が大量に括り付けられている点。
誌面で確認できる範囲ですと樽が2つ、木箱は7つほどありそう。これらを鞍に載せて背負っています。

直前に爆発変態を遂げたものとは考えにくく、この四つん這い巨人は前からこの状態であったとエルヴィンは推測。
知能を持ち、ライナーたちに調査兵団の接近を伝えた可能性があると判断します。
特に知能がありそうな顔には見えないのですがw
エレンたち主役級のデザインと差がありすぎてお気の毒としか言いようがない。

思えばミケたちを襲った時も獣の巨人は配下の雑魚たちに「言語で」命令を伝えているような素振りでした。
あの巨人たちも(程度は低いながら)知能があったということなのでしょう。

アルミンは巨人が背負った樽&箱の中身に関心を寄せるものの到底分かりません。
コーヒーなどの物資の他に、ユミルを含め「故郷へのみやげ」となる人間が入ってるんじゃないかなというのが筆者の考え。
もしくは未だ姿を見せないベルトルさんか。

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エルヴィンの2正面作戦

獣の巨人が怒号とともに大地に拳を打ち付けると、それを待っていたかのように2~3m級の小型雑魚巨人が一斉に進軍を開始。その数16。
調査兵団の退路を断つため馬に狙いを定めているようです。

獣の巨人を含む大型の個体は調査兵団の退路を塞ぐ柵を模して整列し、シガンシナからの出口を囲い込む構え。
エルヴィンはようやくここに来て優先順位の考えがまとまったようです。

団長の指揮のもと、部隊を2つに分けます。
・馬を守りつつ小型の巨人を蹴散らす担当:リヴァイ、その他大勢の兵士
・鎧の巨人を掃討する担当:リヴァイ班(リヴァイ以外)、ハンジ班

馬を失えば街への帰還は絶望的であり、巨人たちによる兵糧責めであっという間に干上がってしまうことは火をみるより明らか。
使い捨て上等で小型の巨人が群をなして攻めて来ますが、なんとしても馬は死守したい。

一方で知能系巨人は始末しておかなければならない標的です。
主力とも言える面々をライナーにぶつける算段で、新兵器「雷槍」の使用も許可されました。しかし変身直前にリヴァイが襲いかかっても殺しきれなかったライナーを、雷槍とやらで何とかできるのでしょうか。
ライナーにとっても未知の兵器ですからそこに付け入る隙があると期待しましょう。

ライナーを後一歩のところで取り逃し忸怩にさいなまれていたリヴァイですが、
名誉挽回のためにあてがわれたダンスのお相手はライナーではなく獣の巨人。
チームはほぼモブ兵士で構成されていますので実質リヴァイと獣の1on1となりそうです。

エルヴィンの作戦の概要はこうです。
■前提)エレンを巨人化させ鎧の巨人を引き付けつつシガンシナから離れる

■A)鎧がエレンを追った場合
→超大型の奇襲を避けるため開けた場所で鎧と格闘戦。ミカサたちが「雷槍」で援護する。

■B)鎧がエレンを無視して馬の殺害を優先した場合
→リヴァイとエレンで獣の巨人を挟撃する。

ライナーたちの目的はエレンの身柄の確保ですから、
エレンが逃走する素振りを見せればライナーは追わざるを得ません。それが仕込みだと分かっていても、です。

エレンが評していわく、1対1の格闘戦ならライナーよりアニの方がずっと手強い。
事実アニはエレンの顎をふっとばして地面に転がし逃亡することができました。
その後、壁を登る途中でミカサが指を切り落として落下させたからよかったものの、エレン一人ではアニに対処しきれなかったのです。
しかしウトガルドの誘拐事件でエレンはライナーとの個人戦に勝利する寸前まで持ち込み、ベルトルトの掟破りなフライングボディプレスで乱戦になり、勝負はうやむやになりました。

ですからエレンが「ライナーなんて一人なら雑魚w アニの方がよっぽどつえーしw」と考えるのも無理からぬ筋と言えるでしょう。

そして読み通りにライナーはエレンに食いつき、正面から相対。風を切る轟音を響かせながら殴り合う二つの巨影。
ライナーの左ストレートがエレンの頬を掠めます。

直撃すれば首から上が月面まで吹っ飛びそうな重量級パンチをエレンは冷静にかわし、即座に返す刀は伝家の宝刀一閃・ライトクロスカウンター!
※たまにボクシング漫画の感想ブログみたいになりますが、お使いのPCは正常です。ただいまお読みいただいているのは進撃の巨人のブログで間違いありません。

エレンの会心のカウンターがライナーの顔面を捉え、2コマかけてゆっくりと左頬を粉砕していきます。
ぶん殴ってスカッとするのはいいのですが、表面にいくらダメージを与えたところで回復してしまいますからこんなものは所詮パフォーマンスでしかなく、単なる男同士の意地の問題。俺の方が強いぞと証明したいだけの示威行動です。

戦いの流れを制するためには相手の動きを封じ、巨人化を解いて無力化させるか、もしくは硬質化をなんとかした上で弱点部分(中の人)を破壊して絶命させるしかありません。あるいはミラクルが起こって説得、もしくは第三勢力の出現によりやむをえず共闘みたいな流れ。

筆者の意見としては、ライナーはここで惨たらしく何の救いもなく、あっけなく死ぬべきだと思っています。そしてエレンに消せない呪いをかければいい。エレンはその罪を背負って苦悩し、それを乗り越えながら生きていく。
もちろん筆者はライナーが嫌いではありません(そもそもこの作品に嫌いなキャラクターなどいません)。
作中で描かれたライナーの強さや弱さはとても魅力的です。

魅力的なキャラが特に救いなく死亡するときの喪失感というのは、漫画作品鑑賞において一種のドラッグです。
決してそれを積極的に望んでいるわけではないのですが、キャラクターのそれまでの生きざまが花火のように散華する瞬間には、切なさが感慨となり、大切なものを粉々にぶち壊す薄暗い快感を伴って胸に込み上げます。(無論ただ使い捨てにすればいいというわけではないので作家の力量が問われる部分です)
そういった喪失感を味わいたい方におすすめな作品は「狼の口」「アカメが斬る」あたりでしょうか・・・。

そういった筆者の好みはさておき、ライナーとエレンの我の張り合いはまだ始まったばかり。エレンも余裕綽々で「おらどうした、立てよ」的な風情でライナーを見下ろし、対する鎧も「野郎、いいもん持ってやがるぜ」といわんばかりにゆっくり立ち上がり、互いに次の手を探っているよう。そこへ控えるのは謎の新兵器「雷槍」を携えたミカサら別動隊でした。

鎧の巨人と獣の巨人を同時に相手にすべく戦力を二分した調査兵団。次号、雷槍が炸裂するか?

つづく

 

雷槍

謎の新兵器。立体機動装置のブレードの代わりに装着されており、銛のような姿をしています。

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字面からは電撃系シビレ罠を想像してしまいますが、この世界には高電圧を任意に発生させる技術は普及していないと思われます。(そもそも電気が実用化されていない)

ただし、これは技術革新を恐れ妨げていた王室の規制によるものとも考えられ、科学技術自体は門外不出として秘蔵されていた可能性は大いにあります。それを急遽実践投入したのか、それとも彼ら自身の技術による別アプローチの兵器なのか、からくりが楽しみです。

ライナーの胸中

今回は久々にライナーのモノローグで胸中が垣間見えます。

基本的に漫画作品のルールでは、モノローグはその人物の本心であり嘘はないということになっていますよね。ライナーは過去にこのルールを破りモノローグで読者を騙した前科があります(※)が、これは「一種の人格障害であり、その瞬間は本人も演技をしている自覚がなかった」という諫山先生が仕掛けたトリックといえるものでした。
(※普通の雑魚巨人1体を相手に本気で死を覚悟していたことなど)

今号の独白ではさすがにそういったことはないだろうと思われますが、ライナーの内心から読み取れる要点は3つ。
・脳機能を全身に移すのが遅れていたら即死だった
・俺たちの戦士長>リヴァイ なる戦力評価
・エレンが完全な座標の力を身に付けたら手遅れになるという焦り

脳機能について。理屈はよくわかりませんが、巨人の脳はクリティカルな弱点ではないということのようです。生成した巨人の肉体に仮想の脳を分散して作ることができ、司令塔をスイッチするということなのでしょうか。「寄生獣」の後藤みたいに頭がやられても右手が新しく頭になるような感じで・・・。

まあいくら考えても生化学的な検証はできませんので、ライナーはそれほどまでに高度な巨人化コントロールを身に付けていると。そういう記号だと理解しておけばいいのではないでしょうか。

「俺たちの戦士長」という台詞。獣の巨人か、もしくは全く未知の存在か、あるいは今だ潜伏している内通者か。
リヴァイの戦力をよく知っているはずのライナーが自信たっぷりに戦士長には到底かないっこないと言い切るほどですから、個体戦力がアニを上回ることは確実。

・獣の巨人がライナーと同じ組織体系に属していて戦士長の階級持ちだった
・これから何らかの手順で故郷への道を開き、そこから援軍として呼んでくる
・影の薄いキャラが巨人に変身する、死んだはずの味方が巨人として復活している
・実はアニが戦士長だった

「そう、私がすべて仕組んだの・・・」そういって姿を現したのは死んだはずのカルラだった!
戦士長カルラに付き従うライナーと獣の巨人!
ちっとも面白くないので却下!やはり筆者には物語を作る才能はないようです。

エレンが完全な座標の力を身に付ける前に・・・
何をもって「完全」なのか意図が判然としませんが、背景のコマから察するに「巨人を自由に支配・操作できる能力」だとしましょう。一応作中では王家の血筋でないと器としては不完全で、だからヒストリアに力を返せという話でしたよね。

世界全体に影響を及ぼすような記憶操作能力を発揮するためにはエレンでは足りない。ヒストリアなら一瞬で巨人を絶滅させられるよ~。そのことを突きつけられてエレンは絶望の淵に沈み、ヒストリアに命を差し出そうとまでした。

そもそも座標の力が王家の者でなければその真価を発揮することはできない、という証明はされていません。ロッドレイスがそう言っていただけです。適合するのに時間や修練が必要なだけということも考えられますし、ライナーが言う座標と、ロッドレイスが欲した始祖なる巨人の力は別のものであるということも考えられます。

ロッドレイスにしても、ヒストリアを懐柔して力を取り戻すために嘘をついたとか単に知らなかったというケースも想定され、可能性を考え始めるときりがありませんね。

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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