進撃の巨人 ネタバレ考察

(64)歓迎会

ヒストリアの記憶に残る「おねえちゃん」、フリーダ・レイスを殺害して王家に伝わる巨人の力を奪ったのは、エレンの父グリシャであった…。

事実を知らされたヒストリアに対し、注射器を持ったレイスは問いかける。お姉ちゃんに会いたいかと。

エレンの目の前で巨人化させられようとしているヒストリア。果たして彼女の行く末は…? 

「進撃の巨人」第64話 歓迎会
別冊少年マガジン2015年01月号(12月09日発売)掲載

教会地下へ

エレンが囚われているのはレイス家敷地にある教会地下の光る結晶洞。周辺に警備はなく、リヴァイらの馬車は難なくそこへたどり着いていた。

これまで妨害がなかったということは、この奥に待ち構えているということでもある。彼らも当然それは知っている。何より、今回の敵は巨人ではない。同じ人間だ。

目的のために人を殺す。どんなに正当化しても、これからやることは殺人行為だ。先日の市街戦ではその覚悟が足りず、あわやということろでアルミンに命を救われたジャン。手を汚せるか、そう問いかけるリヴァイに黙ったまま冷静な表情で応える。準備は整った。さあ行こう、かつて多くの血が流れ、これからも同じことが繰り返されようとしている、殺戮の教会に。

地下の空間は巨人が立って歩けるほどの高さを持った空間だ。光る石柱が林立しており、そこに組まれた木の足場には中央憲兵が対人立体機動装置を着けてお出迎えの準備を整えていた。

ケニーの姿はない。レイスに用済みとばかり追っ払われ、含みのある顔を見せながら歩み去った彼はその後どこにいるのか…。彼が見つけた人生の目的とは? 今はひとまず目の前の中央憲兵たちに集中しよう。

中央憲兵は王に心酔する親衛隊ではなく、ケニーの私兵的なポジションにあるようだ。副長はここでリヴァイ班を足止めして時間を稼ぐことでケニーの夢が叶うと信じている。彼女が剣を取る理由は王の目的完遂を支えるためではない。「最後まで信じてみよう(略)この世界を盤上ごとひっくり返すっていうケニーの夢を」。彼女たちにとってケニーの語る夢とは、それに殉じるに値するビジョンを見せてくれるらしい。

盤上をひっくり返すというのは日本語的に正確かどうか分からないが、この世界をゲームの盤面だと捉えるメタな比喩が彼女には可能である。何者かが創りだしたシステム、あるいはルールに従って盲目的に歩を進めるしかない駒、それが自分たち。ケニーがレイス王とお近づきになり何を知ったのかは分からないが、彼はおそらく世界の成り立ちの一部を覗いた。と同時に野心を持ったのだろう。ルールに支配される駒からルールを支配するプレイヤーへの転換。それはまた壁の中で巨人に怯える日々からの脱出を意味する。憲兵たちはそれを願っているのか。

レイスからすれば叫びの力は記憶操作が自由自在だから、ケニーが何を知ろうがヒストリアが巨人として覚醒しエレンを捕食しさえすれば勝ち。ケニーが何を知ろうと、ヒストリアとエレンが揃った時点でもう関係ないと考えているのだ。

人間と人間の殺し合い

リヴァイ班が採ったのは煙幕に紛れての攪乱戦法。火薬入りの樽を階下に転がし、サシャが火矢でそれを射る。爆発炎上する樽には油の染み込んだ布が詰まっており、それらが四散して黒煙を上げる。さらに信煙弾を煙幕として張り、空間中の視界を急速に狭めていく。リヴァイが目視した敵の数は35。こちらはリヴァイ・ハンジ・ミカサ・ジャン・コニー・サシャ・アルミンの7名。マルロとヒッチは教会の外で見張りをしている。1人あたりのノルマは5人だ。入口からはエレンやヒストリアの姿は見えず、相当に広大な空間であることがわかる。煙幕が十分に展開したのを見て突入するリヴァイ班。

ジャンが、コニーが、それぞれ白刃で憲兵の命を刈り取る。これまで巨人を仕留めるために磨いた技術を今存分に殺人行為のために振るう。迷いはない。サシャは弓で敵の胸を射抜き、アルミンは煙幕を張り続ける。ミカサは旋風を巻きながら死体を量産していく。リヴァイは副長を相手にして駆け引きが続く。苦し紛れに逃れようとした副長が隙を見せたところへ飛びかかったハンジだが、これは誘い罠。対人立体機動装置についた拳銃は単発式で、両手で2発しか撃てない。それを撃ち切ったタイミングを狙ったはずが…ハンジは忘れていた。アンカーそのものにも人を殺傷せしめる威力があることを。

直線軌道を描くハンジはいい的でしかなく、放たれたアンカーはハンジの右肩を貫く。墜落し横たわるハンジはピクリとも動かない。リヴァイ班の動揺を見て取った憲兵たちはこの機に体勢を立て直し、煙幕のない地下洞奥部へ退却していく…。

レイスが語った秘密

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遠くから爆音がこだまする。急いで儀式を済ませなければ…と言ってみせる割にはレイス王が悠長な説明に入る今回の後半パート。

レイスがヒストリアに語って聞かせた内容は次の通り。多いので箇条書き。

  • この洞窟は100年前にある巨人が作った。3つの壁を作ったのも同じ巨人。
  • 壁を作った理由は他の巨人から人類を守るため。
  • その巨人は人々が平和に暮らせるよう記憶を操作した。
  • 王家は代々巨人の力と記憶を捕食の儀式によって伝えてきた。
  • フリーダはロッド・レイスの弟(つまり叔父)を食べて巨人の力と世界の成り立ちにまつわる記憶を継承していた。
  • 継承者は人類の行く末を左右できる者となり、情報を公開することも秘匿することも自由であった。
  • だがこれまで100年の間にそれを公開したものはおらず、初代王の思想に従った。
  • フリーダが本来の巨人の力を行使すれば他の巨人を駆逐することもできたが、グリシャに殺された
  • 巨人の力はレイス家の血筋でなければ本来のポテンシャルを引き出せない。

始祖の巨人について現王家の当主から語られています。代々というと長そうですが、壁ができたのが約100年前でそこから始まった伝統ですからせいぜい4~5世代だと思います。フリーダに食われた叔父は普通に老けてますから在任期間が特に短いとかいうことはなさそう。そもそも後任への引き継ぎ=死なのですが、どういうタイミングで儀式が行われているかもよくわかりません。また継承候補の順位も不明です。性別も関係ないみたいですし。

これまで語られていた推察では、マリア・ローゼ・シーナはそれぞれ壁を作った巨人の名前だろうと言われることが多かったのですが、レイスの話では3つの壁を作ったのは初代王ということらしいです。ただ大型の巨人が壁の中に埋まっていたことは事実であり王の力のみで壁が作られているわけでもありませんから、3人は人柱の代表だったのかもしれない。

またさり気なく重要なことが書かれています。「あの巨大な壁を築くことで他の巨人から人類を守った」…。巷では色々な考察がありましたよね。本当は壁の中は実験場で壁の外には現代社会がある…など諸説挙げていけばきりがないのですが、レイスの言葉を額面通りに受け取るならば少なくともパズルのピースがひとつ埋まって「初代の王は巨人の脅威から人類を守るために壁を作り、その中で人間が争い苦しまぬよう記憶を操り、つかの間の平和をもたらした」という絵が見えてきます。もちろん、そもそも巨人がいつどこで発生したのかといった核心はまだ明かされていません。そしてそれを知った人間は、これまで誰一人それを公開することを望まなかった。知らないほうがよかったと感じる絶望的な記憶なのでしょうか。解けたようで解けない謎。

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レイス自身は巨人の力も記憶も持っていないので、秘匿された歴史を知識として学んだに過ぎません。ですから彼を「本当の王」とするのは誤りですね。王位を証明する冠がないようなもの。彼もまた形だけの当主です。で、今その冠(座標)はエレンが持っていますが、彼ではその真の力を発揮できない。王家の血筋でなければ真の王にはなれない…。

ここまで言ってヒストリアの顔色が変わります。エレンの中にある「叫びの力」をレイス家の血筋の者に戻さなくては、この世界を変えるだけの力は呼び起こせない。そして力と記憶を継承する方法は捕食による。縛られたエレンと、謎の注射。これらが導く真実は…ひとつだ!

何も知らせないままさっさとお注射しちゃえばよかったものの、ヒストリアに「お前はこれから巨人になってエレンを食べて殺すんだよ~ん」という内容に等しい話を聞かせる父レイスはある意味フェアな精神を持っていると言えるでしょう。それでヒストリアが拒否するならそれも仕方ないと考えているのでしょうか。

困惑の色を隠せないヒストリア。そこへ頭上からワイヤーウインチを唸らせて、黒衣の男がゆっくりと降りてきます。ケニー・アッカーマン。彼はレイスの血筋でなければ真の王にはなれないのかと問い質し、レイスはそれを肯定。顔をあげたケニーは蒼白。

「じゃあ 俺が巨人になってエレンを食っても意味ないのかよ…」

どうやら彼はこの儀式についてかなりのことを知っていたようです。そして土壇場でレイスとヒストリアを殺害し、奪った注射で巨人化してエレンを捕食。座標を手に入れて世界を思うがままにしよう、というのが彼の計画。これを思いついた時から、ケニーには憲兵として王権に尻尾を振ってでも生きる意味が生まれたというわけです。そしてそれを部下たちも支持した。情報は漏れまくってますがすべてリセット前提なので、レイスは逆にそれをエサに利用していた節も考えられます。

真の王が覚醒すれば巨人たちを駆逐することもできる…それは傀儡フリッツ王の近くにいた貴族たちも信じていたことでした。しかしそれを誰よりも望むエレンでは真の王の器にはなれず、彼が生きて座標を宿している限りは少なくとも次の王は現れない。巨人に脅かされる日々は続く…。

ここで大きな心境の変化を迫られた人物は2名。この世界を守るための力を器としての資格がないままに独占している事を責められたエレンと、自分はどうやっても真の王になれないとわかったケニー。彼らが次に考えることは…? 次号につづく!

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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