進撃の巨人 ネタバレ考察

(116)天地

何らかの密命を帯びパラディへ潜伏していたピークが、エレンの前に姿を現す。

安楽死計画の実行準備を着々と押し進めるイェレナ。

それぞれが願う「解放」の形の差異ゆえに衝突するユミルの民たち。

そして今、ふたたび因縁の戦いの幕が上がろうとしていた…。

進撃の巨人 第116話 天地
別冊少年マガジン 2019年5月号(4月9日発売)掲載

鉄格子の104期たち

レストランでイェーガー派によって囚われたアルミン・ミカサ・ジャン・コニーら104期と、ブラウス農場の一行、それにニコロ。

シガンシナの兵舎地下と思しき牢にまとめて入れられています。

牢といっても、石積みの壁と鉄格子で遮られている以外は結構充実していて、テーブルやベンチ、薪ストーブ、食器や喫茶用品が備えてあり、ブラウス氏とニコロは割とのんきにお茶なんか淹れています。以前は茶葉は高級品で滅多に手に入らなかったんですけど、壁が崩れて(崩れてはいない)時代は変わりましたね。

どんな苦境でも心の余裕は大切です。深刻ぶっても打開策が浮かぶわけじゃないですし、手ずから皆に茶を勧めるブラウス氏の余裕を見習うべきでしょう。

アルミンが超大型巨人になれば檻など紙細工以下のハナクソですが、同時に爆風で街の大半が消滅するそうです。至近距離にいる仲間たちも蒸発するのでNG。

ジャンはアルミンがエレンにボコられた顛末が気になるらしく、ミカサの前でズケズケと食い下がります。相変わらずデリカシーの欠片もないジャンを制止したのは、まさかのコニー。アホ代表だったコニーが他人の心の機微を察知できるようになるとは、人って成長するもんなんだなあ・・・。背も伸びたしね。

エレンはアルミンとミカサを意味もなく傷つけるクズに成り下がったと吐き捨てますが、ジャンはジャンなりにエレンを信頼しているらしく、エレンの言動には他に真意があるんじゃないか?と投げかけます。

そうそう、それそれ!それを待ってたんだよオレは!!と僕も思わず身を乗り出しました。

当然、エレンの露悪的な振る舞いには何か理由がある。仲間を遠ざけて危険に巻き込まないようにとか、計画の最後に自分を殺害させる予定だから憎まれておきたいとか、もう会えなくなる覚悟だから別れづらくならないように関係を壊しておくとか、ぶきっちょな自己犠牲的な何かがあるはずなんですよ。エレンが安楽死なんて消極的な結末を望むとは思えないですからね。

とはいえこの場で何か結論が出るわけでもなく、真意?なんじゃそりゃ…ど~でもえ~わい、もう人生オワタ…と空を見つめるミカサをよそに、イェレナとオニャンコポンたち義勇兵が姿を現します。

広告

イェレナの託宣

苦々しい顔でイェレナを責め立てるジャン。義勇兵たちはエルディア国を支配してマーレに戦争しかけるのが目的だったんだろ?と詰め寄りました。かーっ、浅い!ジャン君、そうじゃないんだなあ・・・。

ニコロと口論を始め、サシャを侮辱する言葉を口にしたグリーズ(ニコロのレストランで働いていた男、イェーガー派にハンジらの居場所を密告した)をイェレナが警告もなく射殺。

自分たちはエルディア人を救い、マーレも救うことが目的である、エルディア人を悪魔と罵る輩は必要ないと宣します。なんで殺すのかは意味が分かりませんが、イェレナも相当自分に酔っていますね。

そして彼女は「安楽死計画」の全容を104期らに伝え、エレンとジークが世界を救済した現人神として神話になるのだと、恍惚な表情を浮かべるのでした。

壮大な絵空事を聞いて思わず吹き出してしまうアルミン。イェレナに対し「尊いお考えに感動致しました…」とか言って涙を見せてますけど…これ絶対笑ってただろ!と言いたいところですが、アルミンの人格は巨人の記憶に侵食されている存在ですから、彼の情緒に関してはあまり一貫性や信頼性がありません。本気で感涙してる可能性も排除できないので実に困ります。

美辞麗句を並べた大風呂敷に思わず吹き出したアルミン(適当)

順当に言えばイェレナに取り入るための演技という筋が、僕の中では有力ですね。ちなみにこのアルミンを見てコニーがドン引きしてました。

ところで安楽死計画について、フロックらイェーガー派の実働部隊は知ってるんでしょうか…?

脳天気に「ジークとエレンを会わせて地ならしでブイブイ言わせちゃうぜ~」と考えてるならとんでもないピエロなんですけども、大丈夫かフロック?

「車力」ピークの寝返り

一方その頃、同じ建物の別室では。

前回のラストでエレンに続いてガビの軟禁部屋に入るなり護衛を刺殺し、エレンの顔にモーゼル似の拳銃を突きつけたピークはどうしているのでしょうか。

この距離ならエレンが巨人化するより早く額を撃ち抜き脳漿を床にぶちまけるのは容易、と豪語するピークと対峙するも、エレンは目をそらさず強気で臨みます。

エレンにはピークが撃てないとわかっていました。ここでエレンの脊髄液を摂取しないまま殺害してしまえば、始祖・進撃・戦鎚の3巨人がどこの誰に発現するか分かりません。巨人を行方不明にして軍令違反で家族ともども処刑される危険をピークが冒すわけはなく、マーレの命令に従ってエレンは生きたまま確保、ないし捕食する以外にない。

駆け引きもむなしくピークは銃を下ろし、おもむろに「エレンがいればマーレを倒せるのではないか?」ともちかけます。それを目の当たりにした戦士隊の優等生、ガビ大ショック!!ボーゼン!!

ピークは自らの望みを「エルディア人の解放」「家族を収容所から出してあげたい」とのたまい、マーレ人を皆殺しにしたいと吐露します。

彼女はジークの思惑(エルディア人安楽死計画)については知らないため、ジークとエレンが共謀して始祖の力を引き出し、マーレに武力対抗できる目算があるに違いないと踏んでいます。その勝算があるなら、マーレぶっ潰すのに協力するのはやぶさかでないというわけです。

ひたすら困惑するガビ。大人って怖いね、ガビちゃん!キミはこんな心の汚れた大人になんかなっちゃダメだよ、永遠に今のまま天使でいてねデュフフw

「あなたもジークと同じ裏切り者なのか」とライフルをピークへ向け構え直すガビに、ピークは淡々と、しかし静かに力を込めて反論します。

私達はユミルの民であることから逃げられない。技術革新によって兵器としての巨人の価値は失われつつあり、戦士隊、ユミルの民そのものがマーレにとって不用品となる日はもうすぐ来るのだと。

自らが無害であるといくら世界に訴えたところで、誰もそれを認めて庇護してくれたりはしない。自らの生命と自由は、自らの武力で勝ち取るしかない…。

ピークの主張は現代日本を取り巻く環境に通ずるものがあります。

このブログではその政治的な是非を論じるつもりはありませんが、おとなしくいい子にして強大な支配国の庇護下にありさえすれば、いざ有事の際にも主権が守れるのか?というのは一つの議論テーマではあるでしょう。

寝返るならその証を立てろというエレンに対し、ピークは屋上に出れば潜伏している仲間の居場所を教えられると申し出るのでした。

ピークは巨人化できないようガビと手枷で繋がれ、屋上へと導かれます。

階段を登る道すがら、「ジークは出会った時から常に嘘をついているように見えた」とピークは語りました。彼の飄々とした、時に軽薄とも見えるような余裕ぶった振る舞いが演技であると、ピークはとっくに勘付いていたらしい。

ジークは彼女に対しては特に軽いノリで接していた印象がありますが、かつて地獄のシガンシナ奪還戦でエレンに相対した時、それまで戦士隊でも伏せていた本心をジークは発しました。それを聞き、ピークはジークに二心ありと察したようです。

それについて糾弾や密告はせず、結果みすみすジークの亡命を許す羽目になっても特に負い目を感じていないようですから、ピークも国や民族、自身のあり方に思うところがあるのは事実でしょう。

マーレ軍、パラディ侵攻

建物の屋上ではイェレナが出迎えました。エレンに注意を促し、エレンも厳しい顔で頷きます。

ピークは屋上の壁際まで進み、エレンに仲間の居場所を示すよう促されますが、しばし沈黙したまま。場に緊張が走ります。

手枷でつながれたガビは、この機にピークが巨人化して逃亡もしくは戦闘を始め、自分は巨人化の爆圧に巻き込まれて死ぬことを予想し、涙目で怯え震えています。

そんなガビの手を強く握り、にっこり微笑んだピークは反対の手で「敵の位置」を指さしました。

真っ直ぐに指をさされたエレンはピークの出方を伺いつつ睨み合いますが、その時間が命取り。次の瞬間に床が割れ、「顎の巨人」がエレンの直下から飛び出して食いつきます。(ガリアードはどうやって石床の向こうの様子を知ったのか、謎!)

完全に虚を突かれた形でしたが、さすがに石床の向こうからガリアードが正確にエレンの位置を捉えることは難しく、エレンは間一髪、脚を切断されながらも巨人化。「身体の回復を優先するため重傷の場合は巨人化できない」というルールを覆すほどの熟練した冴えを見せます。

ピークの寝返りは演技。マーレに思うところがあるのは事実だが、戦士隊の仲間を裏切ったりはしない。エルディア人の解放は自分たちの手で為すという、これはこれで面倒なタイプです。

上空には5隻の軍用飛行船。乗っているのはマガトやライナーたち。いきなり市街地上空へ攻め込まれてますが、パラディにはまだ対空警戒という概念がないんでしょうかね。自分たちも飛行船でレベリオに奇襲かけてますから、相手が似たような手段を講じる可能性は知っているわけですが、ろくに見張員もいないのでしょうか。

ピークのミッションは始祖・エレンの位置を特定し、上空の彼らに知らせること。派手な狼煙を上げて侵攻の合図を送ることでした。

因縁の末、おそらくエレンとライナー決着の時です。ライナーのメンタルが少々心配ですが、顔つきを見るに迷いはなさそう。大一番に期待できます。

やや離れたエリアにいてイェーガー派と同道しているジークの動きも気になるところです。

一連の出来事で振り回されてメンタル崩壊寸前のガビでしたが、彼女の成長がこの第二部のキモとなるストーリーラインだと思うので、ここからが本番ですね。

つづく

読者さんからのお便り

いや~僕もですね、毎回長文書くの大変なので、読者さんからのお便りで文字数を稼いでエコなブログ運営をしようかな~なんて思うわけです。

無駄な描写や言葉をあまり差し挟まない諌山先生が、わざわざ残した描写として、鏡に向かったエレンが戦え戦えと二度つぶやき、ハンジに突っ込まれている場面があります。

これは、戦いたくない素のエレンに対し、グリシャとクルーガーが「それぞれ」戦えと発破をかけていたのではないでしょうか。

エレンの目を通し、裏からクルーガー+グリシャが行動していたとすれば、「ミカサとアルミンを助けなきゃ」とクルーガーも、グリシャ(エレン捕食前の)が同じように言うのも無理がありません。もちろんループ後の話ですが。「これは誰の記憶だっけ?」は捕食した人間の記憶ではなく、エレンと化したクルーガー自身の前回のループの記憶だと思います。

また、今号でエレンが父親に似てきたとジークが言っていましたが、これは似てきたのではなく、そのまま中身はグリシャなので当たり前なのかもしれません。

とすると、エレンの目的はもう自明で、エルディア復権以外の何者でもなく、地ならし強行ということになります。
(牢屋の中でも地ならしを実行できないことに明らかに焦っていましたし。)

コヤン様ありがとうございます。

巨人能力者は先代継承者の記憶に強く影響を受け、脳の中に仮想の人格が形成されていて、あたかも別人がエレンを中から動かしているような状態になっているのでは…ということですね。面白い考えではないでしょうか。不戦の契を継承した王家の人間も一様に行動を規定されていました。

もちろん物語的にはそれを打破し、自らの足で立つことを決意しカオスなフロンティアへ歩みだすところがゴールになるのは何となく想像できるわけですが…。

ライナーの人格障害という前例もありますし、「あれは本当の自分じゃなかった」というトリックはこの作品においてはすでに解禁されています。今のエレンの露悪的な行動は別に演技ではなく、頭の中の別人がエレン本来の人格を無意識下に封じ込めた上で操っている、という解釈はありかもしれませんね。

広告

別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

Return Top