(102)後の祭り | 進撃の巨人 ネタバレ考察

進撃の巨人 ネタバレ考察

(102)後の祭り

ヴィリー・タイバーによる、パラディ島エルディア人国家への高らかな宣戦布告と同時に姿を現したのは、「進撃」「始祖」をその身に宿したエレン。

防衛のために出動した「戦槌」を、雷槍仕様の立体機動装置を纏ったミカサと共に沈める。

またエレンの巨人化を皮切りに、黒い戦闘服に身を包んだパラディ島の兵士たちがレベリオの街を急襲。立体機動装置で街の上を飛び回る。

蹂躙されるマーレの国土。失敗に終わった「始祖奪還計画」の代償はあまりにも大きい…。

進撃の巨人 第102話 後の祭り
別冊少年マガジン 2018年3月号(2月9日発売)掲載

人間同士の殺し合い

黒い兵装と対人仕様の立体機動装置を身に着けたパラディ軍の兵士たちは、レベリオ街区の中空からマーレの防衛隊を襲撃します。

初めて見る空飛ぶ人間たちに防衛隊はまともに対応できず、頭上から、背後から、次々と体をアンカーで刺し貫かれて斃れて行きました。およそこれは戦争と呼べるようなものではなく、なぶり殺しに近い印象を受けます。

パラディの科学技術水準からすると信じがたいほどの高性能爆薬や燃料を用いた、焼夷弾のようなものを窓からビルに放り込んで防衛部隊をビルごと爆破するなど、破壊の限りを尽くすパラディ軍。マーレ防衛隊からすればまさに悪魔の所業です。

せっせと破壊工作にあたるフロックを見て、民間への被害を抑えるよう叫ぶのはアゴヒゲを生やしたジャンです。フロックは険のある顔で復讐の正当性を説きジャンに真っ向から反論。ここには敵しかいないし、エレンだってやってるだろと言い募られると、返す言葉がないジャン…。

というか、そんな議論は作戦が立案される前に済ませておくべきで、命令無視の独断専行でもない限り実戦でドンパチやりながらのんびり立ち話してる場合じゃない。この軍の指揮系統はどうなっているのでしょうか。順当に考えるとエルヴィンの後継者であるハンジが指揮官なのかな。

あのシガンシナの激戦を生き延びたレジェンドの1人とは言え、第一部終盤にポッと出のフロックが再登場するとは予想外。しかも結構こじらせてムカつく野郎になってますしw ジャンのほうがだいぶ大人に見えます。

ともあれ、マーレの守備隊は指揮系統がぐちゃぐちゃで、マガトが慌てて各方面軍に緊急連絡を飛ばしていますが、今から駆けつけたとしてもまとまった兵力が揃うには時間がかかります。演説への襲撃は予想されておりむしろヴィリー・タイバーやマガトらの目論見通りであるはずなのですが、その割には応戦の用意はお粗末と言えるでしょう。パラディの戦力が想定以上だったのか、兵力を警備に回すだけの根回しができなかったのかは分かりません。

マガトはパラディ島脅威論が現実のものとなり、彼らが世界の敵となったことを胸中で再確認します。これでパラディ島のエルディア人は間違いなく滅ぶ。しかし、パラディ島民もそれは承知のはずで、なぜこのような暴挙に及んだのか…と訝しんでいますが、えっ!?お前そこまでしか考えてなかったの!?とこれには思わず僕も仰天。だって「襲撃の可能性は高い」とか「ヴィリーを守りきる自信がない」とか言ってたのに、襲撃の理由はまだ考えていなかったのでしょうか。嘘だろマガト!!

マガトが想定すべきパラディ軍のシナリオは「9つの巨人を全て掌握し、壁に眠る大型巨人たちの『地ならし』を背景とした軍事力で独立を勝ち取る」といったところでしょう。つまり世界全体を相手取って戦争できる(と思わせる)だけの軍事力(人員・物資・技術・輸送網)を、マーレを征服してゲットするつもりなのだと。

まあこれは漫画なのでもうちょっと大胆な作戦をハンジやアルミンが立案していることと思いますが、今のところ現場ではかなり生臭い人殺し劇が繰り広げられているにすぎません。ミカサも民間人を巻き添えにしたエレンを涙目で見据え、静かに非難します。エレンはあくまで達観したような、それでいて悲しげな眼差しのまま、胸中何を考えているか相変わらず分かりません…。

戦槌・再起動

さて、ミカサの雷槍を8連装全弾、綺麗に食らってうなじから頭部にかけてが完全に消し飛んだ「戦槌」ですが、やや時間をかけたものの全身の修復が終わり反撃してきました。得物は長柄のハンマーからボウガンへと変わっています。硬質化の応用で槍やハンマー、ボウガン、ムチなど武器を自在に作り出すのが「戦槌」の能力と言えそうです。ビヨヨヨンと弾力性が必要な弦まで硬質化の応用で作れるとは恐れ入りますが、硬質化とはもしかすると元素を化学変化させる全般的な能力なのかもしれません。周囲にある炭素を分解して集めて結合させる、といったような…しかも巨人たちは「道」を使って質量やエネルギーを送れるらしいですから練度によっては何でもありですな。

倒しても即座に復帰する戦槌の巨人の不死身性、そのカラクリをエレンは冷静に見抜いていました。分かってしまえば単純な仕掛けですが、ミカサを相手に暴れている「戦槌の巨人」そのものが硬質化で作られた木偶人形であり、本体は足元から長く伸びたアンビリカルケーブルの先、地下に隠れていたというわけです。バトル漫画で無敵・不死身の敵が出てきた時は本体が別にいるというのは鉄板のお約束ですが、それにしてもわかりやすくビロンと紐が伸びているのは相当間抜けな絵面。巨人の記憶に継承されていないことを鑑みるに、他の巨人たちは誰もその弱点を知らなかったのでしょうか…w

ミカサに誘導されるまま、無防備に本体の居場所を晒す「戦槌」。後ろからコソコソ穴に近づき、まんまと本体であるヴィリーの妹を手中に収めた「進撃」エレン。本体から伸びるケーブルをエレンが切断すると「戦槌」はどうと倒れ、エレンは耳まで裂けた口で本体を「いただきま~す」の構え。マガトも思わず固唾を呑みます。

そのタイミングを待ちかねていたのは、罠から救出された「顎」ことポルコ・ガリアード。建物の壁を蹴ってエレンへ襲いかかり、うなじをガブリ!鮮やかな速攻です。

しかしご自慢のアゴに力が入らず、エレンのうなじを食い破ることができません。その寸前、一陣の旋風が目にも留まらぬ速度で「顎」の耳のあたりにある咬筋を切り裂いており、それで噛みちぎることができなかったのです。

はたして、旋風の正体は黒い人影。小柄な体躯に射るような鋭い視線。人間兵器・アッカーマン一族の1人。壁内人類最強と謳われたリヴァイです。

さしもの「顎」も、かつて「獣」を殺害寸前まで追い込んだリヴァイを前に踏みとどまることはせず、即時撤退の判断をしますが、向かう先には「戦槌」の相手を終えたもう1人のアッカーマン、ミカサが向かってきていました。前門のミカサ、後門のリヴァイ。万事休す…彼らが「パラディ島の悪魔」と呼ばれるゆえんをその身で感じながら、ジ・エンド!

と思われたその時、「顎」の救援に駆けつけたのは「車力」ことピーク。顔面への装甲と、背中に重機関銃座を3基の完全武装です。背負っている銃座はうなじも守れて一石二鳥ですね。巨人は基本的に素手で殴る・蹴る・噛むといった、肉体に依存した戦いをすることが多いため、立体機動による頭上や背後からの攻撃を苦手としています。しかしピークは例外的に近代兵器を積極的に用い、遠距離からの全周対空攻撃が可能。立体機動装置は機動力重視で防御力はゼロなので、大口径の機関銃掃射でひき肉にされていきます。

マガトはマーレ軍の巨人戦力は時代遅れだとして脱・巨人を進めようとしていますが、巨人と近代兵器をこうやって融合させていく方が戦力増強にはなるでしょうね。まあ巨人の欠点は寿命とか練度とか他にもいろいろあるので、軍隊としては近代兵器のみに切り替えたほうが運用管理はしやすいのでしょうけど。

「顎」「車力」の登場に気を取られたほんの数秒の間に、エレンの手中にあった「戦槌」の本体は目を覚まし反撃に転じていました。地面から生えるかのように「戦槌」の体を再構築しながら、無数の枝を一気に放出してエレンを串刺し、宙へ突き上げます。「ワールドトリガー」の15巻くらいで、僕の大好きな那須さんがこれに似た地面から生えるドチャクソかっこええ射撃で敵にトドメを刺したのを見たことがある…と言って伝わるといいなw

エレンは串刺しですが「戦槌」本体が入った結晶体は手に持ったままなので、またケーブルを引きちぎればいいだけの話。これでは悪あがきに過ぎません。しかしそのわずかな時間稼ぎが功を奏し、地響きを立てて姿を表したのは因縁の「獣」、現戦士長のジーク・イェーガーです。エレンの異母兄であり、グリシャがパラディ島送りとなる直接的なきっかけを作った人物。グリシャの思想を憎み、エレンをその被害者だと憐れみ、いつかエレンを救ってやると宣言してシガンシナから去りました。

しかし残念なことに、彼らの再会の場は和やかな兄弟水入らずとはならず、戦場。それもエレン自らがグリシャやジークの生まれ故郷を火の海にし、民間人を殺戮するというぶっとんだお礼参りで、「獣」の小さな眼窩の奥が遠目にもわかるほど怒りで燃えています。

レベリオを守るのは「獣」「顎」「車力」「戦槌」の重量級戦力。兵士による守備隊はほぼ壊滅しました。

相対するのは「進撃&始祖」と2人のアッカーマン、立体機動装置の兵士たちに加え、隠し玉として「超大型」が控えていると思われます。あとこれだけの大規模作戦にかかわらず、貴重な戦力である「女型」をアニに持たせたまま何年も寝かしとくわけないと思うんですよね。さっさと別の誰かに継承させちゃってたりして…。

相変わらず「鎧」とファルコは出てこないので、予想としてはファルコはエレンの巨人化に巻き込まれて致命傷を負っている。ライナーがそれを助けるために本部へ走り、独断で巨人化薬を使って自分を食わせるパターンじゃないでしょうかね。もしくはファルコがあえなく死亡してブチ切れたライナーがエレンと再戦。読者としてはどちらに肩入れすればいいかまったく分からない展開です。

満を持して再登場・104期たち

少し時間を遡りますが、襲撃部隊の中にはサシャとコニーの姿もありました。

コニーはめちゃくちゃ背が伸びて手足が長くなり、ワイルドな印象に。サシャは憂いを帯び落ち着きのある女性へと変貌しており、食い物を見るや半狂乱になっていたポニーテールの芋女の面影はもはやありません。相変わらず同期にも敬語ですね。

パラディ島の戦力でまだ登場していないのはアルミンですが、やはりピークとポルコを罠にはめた「ノッポの兵士」がアルミンだったのか…? 

彼らの最終的な作戦目標は明らかではありません。9つの巨人を引きずり出して全てを奪い取ることなのか、特定の誰かの身柄が目的なのか。ジャンは「時間までに戦槌を無力化する」と言っていますので、作戦にはまだ次の段階があるはずです。

ジャンやコニーたちは建物の屋根や屋上にライトを設置して回っています。これが作戦の第二段階の準備であるとするなら、それを目印に何かが空から降ってくるのでしょうか。「何か」とは、言わずと知れた超大型巨人。ベルトルトがシガンシナで見せた爆誕攻撃のように、明かりをめがけて飛行船や気球から降下したアルミンが着地寸前で巨人化。爆圧でレベリオの町ごと吹き飛ばす…のであればジャンが街への被害を止めようとフロックを諌めた理由がわかりませんので、これは見当違い。破壊や殺戮「以外」の何らかの目的があると推察されます。

とはいえ組織的抵抗を抑えるため、作戦の第一段階としてパラディ軍は街をかなり派手に破壊して回っていましたので、病院は怪我人が溢れて混乱状態になっていました。逃げる群衆に踏み潰されて重傷を負ったウドを連れてきたものの、もうとっくに死んでると門前払いを受け、地面に友の亡骸を横たえることしかできなかったガビとコルト。「進撃」の初撃に巻き込まれて瓦礫に潰され死亡したゾフィアとあわせて2人の同期を失い、どす黒い感情に飲まれるガビ。コルトの制止を振り切って、巨人たちが戦う広場へと走ります。

広場へ向かう道で、顔なじみの門兵たちがガビを見て押しとどめようとしますが、そこへパラディ軍の爆弾投擲が始まります。小銃で応戦する門兵らを、ガビの目前でサシャが屋上から狙撃・射殺。その道を爆弾で塞ぎ、増援の兵士や車両が通れないようにするのがミッションでした。そのサシャの顔をガビははっきりと見ます。

同期を殺され、顔なじみも殺され、故郷の街を焼かれ、しばし炎と、飛び回るパラディの悪魔たちの姿を無言で眺めたあと、ガビは地面に落ちたライフルへ手を伸ばします。エレンイェーガー、殺してやる…!明確な殺意と銃を胸に抱き、広場への道を走るガビ。戦いは一層激しさを増していきます…。

つづく

読者は誰の味方をすればいいのか

今回はジャン、コニー、サシャ、フロックが成長した姿で登場。みんな普通に老けましたね。成長したというよりは老けた。一様に目が濁っていて、無邪気に「人類を守る!」みたいな使命感に酔っていたあの頃とは精神のありかたがまったく変わっている様子です。あのコニーですらちょっと落ち着いてるし。

今やってるのも民間人巻き添え上等の戦闘行為で、かつて始祖奪還作戦で戦士たちがシガンシナへ侵攻した時にやったことと大して変わりません。無垢の巨人に轢き潰させたか、自分たちが銃や爆弾で手を下しているかの違いに過ぎない。 虐殺に等しい行為も、正当な復讐だというのがフロック。ジャンはそれを否定できませんでした。コニーやサシャも淡々と任務を遂行していて、はっきりと嫌悪感を示しているのはミカサとジャンだけですね。

彼らのメンタルを見るに、やはりもう「主人公」は代替わりして、エレンたちではなくなったのだなと感じます。「任務だから」で平然と民間人をぶっ殺して回るような人物は、およそ少年漫画の主人公として適格とは言えません。おそらくリアルタイムで連載を読んでいる皆さんも、大義はどちらにあるのか、どちらを応援すればいいのか分からないのではないでしょうか。第一部の経緯がありこそすれ、今のエレンたちに感情移入することは難しい。かといってガビがエレンをぶっ殺してやる!と言うのを応援するわけにもいかない。もちろん、どう読み取るかは各々の自由ではあるのですが。

このモヤモヤを抱えたまま来月号を待たねばならないとは、本当に罪な作品だと思います。

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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