(101)戦槌 | 進撃の巨人 ネタバレ考察

進撃の巨人 ネタバレ考察

(101)戦槌

タイバー公・ヴィリーと戦士隊隊長のマガトが画策したマーレ軍の改造計画とは、脱・巨人により神話の時代から近代へと時代を押し進めることだった。

ヴィリーはパラディ軍による襲撃が予想される演説会に軍幹部を集め、これを始末しようと考える。

そして各国の要人が集う場に襲撃があれば、それはまさにパラディ島脅威論の実現であり、マーレが世界の警察として軍備を拡大する口実にもなる。

しかしそのためには、パラディ島勢力をおびき出し実際に襲撃を実行させるための「餌」が必要であった。

その役を見事に果たし、ヴィリーはパラディ島への宣戦布告と同時に出現した「進撃の巨人」によって殺害される…。

進撃の巨人 第101話 戦槌
別冊少年マガジン2018年2月号(1月9日発売)掲載

エレン、大暴れ

タイバー公の宣戦布告と同時に、集合住宅を崩して出現した「進撃の巨人」。間髪をいれずタイバー公・ヴィリーを捻り潰して捕食するやいなや、今度はマーレ軍幹部が並んでいる観覧席めがけてフライングボディプレスをぶちかまします。木っ端のごとく飛び散る観客たち。多くは軍属でしょうが、いちいち区別できるはずもなく、相当数の民間人もおそらく巻き添えです。

戦士候補たちはと言えば、飛んできた瓦礫にゾフィアが上半身を潰されてミートソースに。直後に押し寄せる群衆に飲まれて踏み潰され、ウドが負傷。顔面グシャグシャで意識もなく、危険な状態です。ガビとコルトは重体のウドを抱えて避難しますが、ただ狼狽する他ありません。エレンの巨人化に巻き込まれたライナーやファルコの消息は不明。ライナーが鎧の巨人を出さないところを見ると、気絶したか重傷を負って回復に手一杯であると思われます。

この時点でエレンは明確に人殺しの道を進み、マーレ人からすると恐るべき悪魔の末裔、世界の脅威そのもの。これで本作は万が一にも「人類同士で憎み合う世界と決別するんだ!それがオレたちの本当の戦いだ!」的な、ちょっとスッキリしない綺麗事を説くことはなくなったと言えるでしょう。

殺し合い憎み合う螺旋に苛まれる主人公の苦悩を描いているのは「ヴィンランドサガ」や「るろうに剣心」が有名ですが、過去ヤンチャしてた頃の被害者から憎しみを浴びせられながら不殺や非暴力を貫くのは容易なことではなく、それをハッピーエンドに結びつけようとするならどこかで「ご都合」的な展開が必要になります。さもなくば銃弾に斃れたガンジーのように、理不尽な暴力に巻き込まれるのが現実的でしょう。

しかしエレンたちパラディ島勢力はごく普通に、脅威を戦争という暴力によって滅ぼす選択をしたらしく、文明レベル相応の前近代的な価値観に沿ったリアリティがあります。現実世界でもたかだか70年前までは世界大戦なんてものがあったわけですから、人間同士の戦争の歴史にうとい壁の中の人達に反戦平和の思想を求めるのはなかなか酷であるとも言えます。

とは言え、現時点ではパラディ島勢力の意図や作戦概要は明かされておらず、彼らが何を目的に戦端を開いたのかは分かりません。マーレの元帥をはじめ軍幹部は一網打尽にしましたが、リーダーを殺しただけで戦争が終わるのは中世騎士の一騎打ちの時代まで。近代的な軍隊同士の戦争では、誰が死んでも代役が務めを果たせるように組織されていますので、問題は終戦の落とし所をどう描いているかでしょう。

ついに現れた「戦槌の巨人」

狂ったように暴れまくる「進撃の巨人」の後方で、瓦礫の上に立ち上がった黒いエプロンドレスの女性。タイバー公を兄と呼ぶその女性は周囲を吹き飛ばしながら巨人化現象を呼び起こします。

彼女こそが、秘匿されていた「9つの巨人」最後の1体である「戦鎚」の本体。97話のタイバー家紹介の際には、侍女のような佇まいで奥の方に直立していた人物ですね。特にミスリードやトリックがあったわけでもないので、ふーんって感じです。

エレンは巨人出現を察知するや、実体化が済む前にすぐさま襲いかかります。ヒーロー物なら大顰蹙間違い無し、掟破りの「変身中に先制パンチ」です。右フックでアゴをぶち抜き、倒れざまにマウンティングして今度は両手の指を硬質化させ、組み敷いた「戦槌」に対し殴り掛かる。その様を碇ゲンドウの如く静観していたマガトもこれにはドン引き(多分)。

マガトの元へは指示を仰ぐ伝令が大勢駆け寄っており、エレンに対しいまだ組織的な対応や反撃が行われていません。マガトは担いでいた小銃を1発放つと一番槍だと言い、暴れているのが「始祖」と「進撃」を持つエレン・イェーガーであることを看破。兵士たちに対応を命じます。

マウントポジションからの乱打を続けていたエレンですが、地面から突如生えた巨大な槍に土手っ腹を刺し貫かれ、そのまま空へと舞い上がります。硬質化能力の応用で作られたとおぼしき槍の表面には螺旋状にトゲが並んでおり、「戦場のヴァルキュリア」でセルベリアが用いた槍に似た印象を与えます(画像を確認したらあまり似てなかった)。

エレンが槍を破壊するのに手間取っているうち、復帰した「戦槌」は実体化を完了。その手には、巨人の身の丈より有に2倍はあろうかという長柄のハンマーが握られています。これが「戦槌」の所以か。

さらに本体の姿は予想に反してシンプルで、白い全身タイツを着た筋肉質な人のよう。顔面も目と口が格子状になっている以外はタイツで覆われていて、僕がこの顔を見て最初に連想したのはクロマティ高校のマスクド竹之内でした。

ハンマーの直撃を避けて周囲をステップする「進撃」ですが、戦槌は小器用なことに先程地面から生やした槍のミニサイズ版を周囲に広く張り巡らせ、マキビシでござるよニンニンとばかりに「進撃」の動きを封じます。そこへ守備隊から野戦砲の徹甲弾による援護射撃が加わり、エレンはうなじをガードして防戦一方。マガトは始祖の奪還よりも殲滅を優先する構えです。ここでエレンを潰してしまえばパラディの再軍備には多くの時間が必要となり、その間に近代兵器を揃えてマーレ軍の脱巨人化を実現させるつもりでしょう。

その計画をタイバー公から言い含められていたであろう「戦槌」も承知のようで、エレンを捕食する様子はありません。エレンの硬質化ガードの上からハンマーで首を吹き飛ばし、エレンをうなじから引きずり出します。もう一度ハンマーを構え、エレンを叩き潰す寸前。あろうことか

「最期に言い残すことはありますか」

げぇーっ!そんなコテコテのお約束死亡フラグ「獲物を前に舌なめずり」をここで披露しちゃうのーーー!?

…と思った瞬間、まったく期待を裏切らず後方からすっ飛んできたのは最強生物・ミカサでした。僕が「あ、これ戦槌死んだわ」と確信したのもまったく無理からぬことでしょう。

ミカサ

立体機動で飛来した彼女は両腕に「雷槍」を4連装で携え、その重量どうやって支えとるん?wという疑問を差し挟む余地を一切与えない電光石火の早業でマスクド竹之内こと「戦鎚の巨人」に肉薄。8本の雷槍全てを正確にうなじへと突き刺して起爆させ、瞬く間に「戦鎚」を地面へ昏倒せしめます。唖然とするマーレの警備兵たちを、立体機動と拳銃で制圧していくパラディの後続兵士たち。

ミカサはエレンの傍らに降り立つと、エレンに「お願い、帰ってきて」と懇願。どうやらエレンの長期潜伏に伴う久々のロマンスだった模様です。

かつてマッチョ美少女だったミカサは年月を経てさらに身長と手足が伸びており、9頭身以上ありそう。現実に置き換えるとシャラポワみたいな体格なんじゃないだろうか。

ロン毛になったエレンとは逆に髪を切った彼女が身に纏っているのは、黒を基調としたカラーリングの戦闘服とおなじみのマフラーに加え、腰部でなく肩の後ろに機構を配した立体機動装置。これは昔ケニーたち中央憲兵の暗殺部隊が、対人戦闘を想定して配備したものです。胸には「自由の翼」の旗印。かつて調査兵団が求めた自由と、今彼らが望む自由はまったくその意味を変えてしまいましたね。

次は戦士隊相手の巨人大戦か?

その頃、何者かによって罠に囚われたピークとポッコは支援兵たちによって救出されていました。大方の予想通り、あの不自然なハグの際にメッセージを残していたピークの機転が功を奏しました。

表へ出たピークらは、街の上空を飛び回る無数の人影を目撃。ポッコはおそらく初見でしょう。ピークにとっては嫌な思い出であると共に、この大陸にはいるはずのない者たち。思わず目を見張ります。

「戦槌」が雷槍でこのまま退場すれば大笑いですがどうでしょう。マーレの巨人たちは人間とのドッグファイトは想定しておらず、また巨人同士の格闘戦も練度は高くないと思われます(国境を接した周辺国家にはそうした脅威がなかったため)。どちらかと言えば大型の土木工作機械で防御施設を破壊するようなイメージの運用が多かったのではないでしょうか。彼女が持っていた長柄のハンマーは戦闘用というよりは動かない目標を破壊するための物と考えた方がしっくり来ます。

とすれば、巨人相手にチョロチョロまとわりついて仕留めていく戦術はパラディ軍に一日の長があり、「戦槌」はそれに翻弄され手も足も出ない可能性がありますね。対人戦闘の経験があるジークやピーク、ライナーたちを封じ込めているうちにさっさと「戦槌」を沈めてしまうのが作戦の第一段階だとすると、次は増援の戦士隊オールスターを相手取った怪獣大戦争が始まるわけですが、故郷レベリオを巻き込んで巨人大戦が再来することに、戦士隊は何を思うのでしょうか…。

「車力」は武装して10分後に出撃可能、「顎」はすぐにでも出られそうですが、「戦槌」は大ダメージで少なくともすぐには動けず、「獣」と「鎧」は消息不明。

「進撃(&始祖)」は1人で大暴れしていますが、残る「超大型」「女型」はどうしているのでしょうか?

つづく。

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別冊少年マガジン(毎月9日発売)で連載中、
「進撃の巨人」のネタバレ感想ブログです。

ネタバレには配慮しませんので、ストーリーを楽しみたい方はご注意下さい。

※フラゲ速報ではありません。本誌発売日の夜に更新することが多いです。

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